2004.12.23

『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(ジム・ジャームッシュ)

ストレンジャー・ザン・パラダイス

今回は、後の映画に絶大な影響を与えたと言われる、ジム・ジャームッシュ監督の名を一躍有名にした作品。

ニューヨーク、競馬や博打で稼ぎながらぶらぶらした毎日を過ごすウィリーとエディ。
そこへ、ブタペストからウィリーのいとこエヴァが訪ねて来た。
ただそれだけの話。これといったことは何も起こりません。

これは、好き嫌いがすごく分かれる作品だと思います。
100点をつけるか0点か、その世界にどっぷりとはまるか10分で寝てしまうか。
もちろん好みは人それぞれなので何とも言えませんが、自分は圧倒的に前者。

まずは、全編モノクロで撮られた映像、どのシーンを切り取ってもポスターになるかっこよさ。

台詞は、あるにはあります。でも、たいして意味はありません。
ストーリーもあってないようなものでしょう。

くだらないテレビ番組を眺めるウィリーとエヴァ。

エヴァがクリーブランドに行った後、部屋で無言でビールを飲むウィリーとエディ。

エヴァのボーイフレンドも一緒に4人横並び(並ぶ順番が絶妙)で映画館で観るカンフー映画。

猛吹雪の中、凍ったエリー湖の前で佇む3人。

マイアミ到着後、サングラスで“観光客”になる3人。

ストレンジャー・ザン・パラダイス

そんな何でもない時間を、ワンシーンワンショットのフェイドアウト→フェイドインでつないだ90分。

しかも、普通のフェイドアウト→フェイドインは一瞬で切り替わりますが、その間に必ず真っ黒の画面が挟まります。
一瞬よりは長く数秒よりは短い間です。

この間(ま)が傑作で、うまく言葉にできませんが、その場に存在した空気、雰囲気を、次の場面に移る前にふっと観る者の心に残してくれるのです。

何もおかしなことはしてないのに、思わずクスっと笑ってしまうくだらない日常。

何も起こらないことの素晴らしさ。
余韻の美学。

先ほども書いたように、観る人を選ぶ映画でしょうが、気に入る方はたまらなく好きな作品になるのではないかと思います。



Apple Musicでサントラを聴く♪


[原題]Stranger Than Paradise
1984/アメリカ・西ドイツ/90分
[監督・脚本]ジム・ジャームッシュ
[音楽]ジョン・ルーリー
[出演]ジョン・ルーリー/エスター・バリント/リチャード・エドソン

→予告編 →他の映画の感想も読む

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*Comment

■>テコさん

もちろんこれが“合わない”方もたくさんいらっしゃるでしょうし、そういう方がいるのも当たり前だと思いますが、好きな人間にはほんとにたまらない映画ですよね。

先ほどの『スリ』と同じで、これも言葉で説明するのが難しい映画ですが、一言で言うなら、「映画の中に流れる空気」がたまらなく好きという感じでしょうか。

時を経て再見すると全然印象が違うってこと、よくありますよね。
一度観ただけで切り捨ててしまって二度と観ないのが普通ですが、次観たらひょっとして一生モノの映画になるかもしれないですしね。
未見の映画も山ほどあるので、なかなか再見に割ける時間はないんですが(^^;
micchii |  2012.04.08(日) 22:23 |  URL |  【コメント編集】

■すごく

以前 映画好きから薦められた時観たのですが・・イマイチ「ふーん、これが噂のザンパラなのねー」と言う感じでスルーしてて、その後も何本か観たんですが、おしゃれ映画のカテゴリーでした。がっ!!!!しかしジャームッシュ特集で再見。一体私は何を観てたのだ!と思い大好きになりました。何度も時を経て観るって大切ですね。バカな私は何度も同じ事を繰り返すのでした。
テコ |  2012.04.08(日) 14:49 |  URL |  【コメント編集】

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ストレンジャー・ザン・パラダイス

昔、「アメリカの夢」というのがあった。西へ、西へと行けば、何かがある。 たとえ丸太小屋に生まれても、一文無しの境遇でも、拒をつかめば大統領にだってなれるかもしれない。 新大陸の道路を旅する映画、ロード・ムービーはそんなアメリカの郷愁を引きずっている。 しか.
2005/07/12(火) 17:39:17 | 鏡の誘惑

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