2002.10.23

No.54 神様からのプレゼント

今回の話題は、6節にして早くもやってきたセリエAの大一番イタリアダービー、インテルVSユベントス、舞台はもちろんジュゼッペ・メアッツァ、通称サンシーロ。
セリエAのチームの中で、セリエBに降格したことのないたった2つのチームであるインテルとユベントス、ライバル意識は並大抵のものではありません。
しかも、インテルとしては、ユベントス戦はここ9試合勝ちがなし、つまりリーグ戦で5年あまり勝っていないのです。確か4分5敗か5分4敗だったと思います。

サンシーロで行われるということもあり、インテルとしては何がなんでも負けられない一戦。しかも、毎年この対戦は疑惑の判定(多くはユーべ有利)で物議を醸し出し、それに加え昨シーズンは最終節までインテルが首位だったにも関わらず最後の最後にユーべにスクデットを持っていかれたということもあり、インテルとしてはまさに“リベンジ”の一戦。
試合開始前には花火も上がり、雰囲気はすでに最高潮。同じサンシーロでの試合でも、下位チームとの試合と、ユーべ相手との試合ではスタジアムの雰囲気、もっといえば殺気が違います。

スタメンは、インテルがGKトルド、そして今日は3バックでの3-4-1-2で3バックはカンナバーロ、マテラッツィ、コルドバ、中盤はココ、アルメイダ、ディ・ビアージョ、サネッティ、そしてトップ下にレコバが入り、2トップはもちろんクレスポにヴィエリ。

対するユベントスは、トレゼゲ、モンテーロ、タッキナルディを欠くものの、GKブッフォンに、4-3-1-2で4バックはビリンデッリ、ユリアーノ、フェラーラ、テュラム、中盤は左からダービッツ、トゥドール、カモラネージ、そしてトップ下はネドベド、2トップはデル・ピエロにサラス。

レフリーはご存知コッリーナさん、役者は揃いました。

試合序盤は、完全にユベントスのペース、トゥドール、ネドベドが次々にシュートを放ったかと思えば、デル・ピエロのヒールパスから抜け出したテュラムの突進も何とかインテルは凌ぎきりました。

前半20分くらいまでは、ユベントスが猛攻。インテルは、いつものクーペルサッカーの如く、まずは守備を固めてカウンター狙い。
それでも、前線にはレコバ、ヴィエリ、クレスポという超がつく危険な3人が、ユーベのわずかの隙を常に狙っています。

20分過ぎからは、ユーベの一方的な展開というわけでもなくなり、試合は一進一退の展開に。
インテルも、完全なカウンター狙いから、少しずつ攻撃を組み立てられるようになりましたが、それでもゲームを一方的に支配するというところまではいたらず、前半はそのまま終了。

後半が始まると、またもやユーベがわずかに試合を優位に押し進め、そして迎えた52分、ゴール前でデル・ピエロの放った左足のパーフェクトなシュート。コースを狙った少しカーブのかかった素晴らしいボールであっただけでなく、スピードも威力も十分、ボールは間違いなくゴール右上隅を捉えていました。
サンシーロも、そしてインテリスタの管理人も「やられた!」と叫んだその瞬間、我等が守護神トルドが神懸り的なセーブでわずかに指の先に当てボールはわずかに上にそれました。これは完全な1点もので、トルドでなかったら入っていたでしょう。

連戦のため疲れが心配されていたデル・ピエロは、疲れどころかほんとに絶好調で、この後もデル・ピエロのシュートは何度もインテルゴールの枠を捉えていました。
さらに、ネドベド、サラスあたりも素晴らしいシュートを放っていましたが、得点は入らず。

一方的に攻められていたインテルでしたが、60分過ぎ、この試合初めてサネッティが右サイド深くえぐり素晴らしいクロスボール、ヴィエリが二アサイドに走りこみDF2人を引きつけたため、クレスポは完全なドフリー。
インテルに訪れたこの試合最初の決定機でした。しかし、クレスポのヘディングはクロスバーの上へ・・・。

黙っていないユーべも、デル・ピエロのラストパスからサラスがボレーで狙うもこちらもわずかにクロスバーの上。

この後も、基本的にはユーベが攻撃を繰り返すものの、インテルのカウンターの精度も徐々にあがっていきました。

そんな中、右サイドから信じられないスピードとキレでドリブルで駆け上がってきたカモラネージからゴール前のサラスへパーフェクトなパス。サラスは完全にフリー。またしてもサンシーロも管理人も「やられた!」と叫んだその瞬間、トルドがこの日2度目の神懸りセーブでこれをクリア!この日のトルドはほんとに神懸っていました。

そして、耐えに耐えてきたインテルに、その数分後またもや決定的なチャンスが。ユーベのオフサイドトラップの失敗に乗じてスルーパスに反応したヴィエリが完全にブッフォンと1対1。
しかし、トルドも世界的な守護神ですが、24歳にしてすでにセリエAで200試合以上のキャリアを誇り、そのトルドにポジションを与えることなく、アズーリでもカテナチオ(最近は崩壊していますが・・・)の最後の番人として君臨するブッフォン、ライバルトルドのスーパーセーブ連発に黙っているわけがありません。
ヴィエリがシュートを打たず左に抜きにかかったところを体を投げ出して見事セーブ、あの状態でPKを与えずヴィエリの突進を止められるキーパーは何人もいるものではありません。

しかし、ヴィエリとて“重戦車”の異名をとるだけのことはあり、あっさりブッフォンにボールを奪われるという無様な真似はしません、しっかり“置き土産”を残していきました。
ブッフォンはヴィエリからはボールを奪ったものの、その手からわずかにボールがこぼれそうになったのです。

そのほんのわずかの隙を見逃さず襲い掛かったのが、こちらも世界的なストライカークレスポ、ブッフォンの手からわずかにこぼれたボールを奪い去るとそのまま無人のゴールにシュート、今度はサンシーロも管理人も「もらった!」と思いましたが、そこに立ちはだかったのはゴールポスト。
W杯でもなにかと活躍したゴールポストですが、ヴィエリ、ブッフォン、クレスポというワールドクラスの攻防の後に、無常にもクレスポの前に立ちはだかりました。

しかし、このシーンはまだ終わりません。ポストから跳ね返ってきたボールに走りこんできたのは、インテル攻撃陣のワールドクラスの最後の一人レコバ、こぼれてきたボールを拾うと左にドリブルで流れ左足で強烈なシュート、しかしこれは惜しくもゴール右に外れました。

耐えに耐えたインテルが、ついにやってきたこの試合最大の決定機に、ここぞとばかりにワールドクラスの3人が襲いかかり、そして一方のユベントスも、ゴールポストまでも味方につけた守護神ブッフォンが一人で立ちはだかりました。
ほんとにレベルの高い攻防に、サンシーロの歓声も一際大きく・・・。

前に、守備偏重のセリエAの試合より、魅力的な攻撃に溢れるリーガ・エスパニョーラの方が断然面白いと書きました。
確かに、多くの場合はその通りで、この前のベティスVSマドリーのように、ほんとに最高レベルの攻撃サッカーの応酬も文句なしに面白いです。

しかし、ただ守っているだけの試合は確かにつまらないですが、点が入らない試合がすべてつまらないというわけではありません。中には、点が入らなくても最高に楽しい試合もあります。
この試合はそういう試合の最たるもので、基本的にはお互いにミスを犯したくないため慎重になるあまり、守備に重きを置いていることは間違いありませんが、一端攻撃に移った時のスピードと、そしてしっかりシュートを枠にもっていくだけの技術、さらには時折見られるワールドクラスの攻防、入っても何の不思議もない素晴らしいシュートを、涼しい顔で信じられないセーブで防いでしまう両守護神、点は入らなくても、これほど面白い試合はありません。

スコアレスドローでも十分に面白かったんですが、この試合は、そのレベルの試合に終わりませんでした。
ドラマはここからでした。

右サイドで圧倒的なスピードとキレでココを圧倒していたカモラネージがインテルのペナルティエリア内に走りこみ、そこにダービッツからブラボ~なパスが通り、カモラネージはそのボールに対してダイレクトでゴールの方向に向かって鋭い切り返し!
そこで、ココが思わず足を引っ掛けてしまいました・・・。カモラネージが自分でつまずいたように見えなくもありませんでしたが、コッリーナさんの判定はPK。

インテルイレブンは猛然と抗議。過去のイタリアダービーでも、インテルは何度も疑惑の判定によるPKに泣かされています。それはデッレ・アルピ(ユベントスのホームスタジアム)でのことが多く、審判も世界一の審判であるコッリーナさんですし、サンシーロだからユーべ有利の疑惑の判定も今回はないだろうと思っていましたが、物議を醸し出す判定だったことは間違いありません。
しかし、毅然としていたコッリーナさんはさすがでした。

デル・ピエロのPKはトルドの逆をついたものの、なんとゴールバーにわずかに当たり入るという際どいもの。
さすがデル・ピエロ、役者の違いを見せつけ、ただ決めるだけではなく、ハラハラさせながら決めるというおまけ付き。
PKで左右どちらかの上隅に蹴ればキーパーはまず止められませんが、それは上に外したりバーに当てるというリスクも伴うもの。
この大一番で、しかも試合終了間際にそこに蹴りこんだデル・ピエロはさすがの一言でした。

このPKが決まったのが89分。サンシーロのお客さんもさすがに諦めたのか、次々と席を立ち始めました。それもわからなくはありません。
2度の完全な決定機を外し、89分に引導を渡される形でPKを決められてしまったのです。このまま0-1で敗れていたら、このPKの判定はかなりの物議を醸し出したことでしょう。

しかし、ロスタイム表示はなんと5分。何かを起こすには十分な時間です。
まず起こったのが乱闘。93分、モルフェオとコンテが共に一発退場。

そして、試合終了直前、インテルにコーナーキックのチャンス。これがラストプレーと見るや、トルドまでもがゴール前に上がっていきインテルは全員攻撃。

ゴール前に上がったボールに対しブッフォンがパンチングしにいきましたが、ブッフォンはキーパーチャージぎみの当たりを受けパンチングできず、ボールはトルドの体に当たってゴールの中にコロコロと・・・。
最後にヴィエリに当たっているようにも見えました。

記録はヴィエリのゴールとなりましたが、トルドは俺が決めたんだと大ハシャギ。まるで子供のような喜びようで、仲間もトルドの上に乗りかかるように喜びを爆発させました!

今度は、ブッフォンに対してのキーパーチャージではないかとユベントスイレブンが猛然と抗議。
しかし、判定は覆らず、試合はそのまま1-1のドロー。
確かにブッフォンには可哀相な判定に思えましたが、最後は、“負けるわけにはいかない”というインテルの執念が少しだけ上回った奇跡の同点劇でした。

試合後、「誰がゴールを決めたんですか?」と質問されたトルド、「俺だよ、俺が決めたんだ!」。
すかさず「映像ではヴィエリが決めたように見えるんですが・・・」とつっこまれるも、「映像は今回はいらないんだ。私です」と断言(笑)
ヴィエリが最後に触れたのかもしれませんが、トルドの体に当たってボールがゴールに吸い込まれたのは間違いなく、コーナーキックにキーパーが上がって行って決めてしまうという、そうは見られないことをこの大一番でやってのけたトルド、ただでさえ2度の決定機を神懸り的なセーブで防いでいたトルド、最後はまさに神を味方につけたゴールでした。

イタリア以外ならどこの国に行っても不動の守護神でありながら、ブッフォンがいるためにベンチに座っているしかないトルド、それでもめげずにチームのためにすべてを捧げてきたトルド、今日の同点ゴールは、そんな彼への、神様からのささやかなプレゼントだったのかもしれません。

 

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