2004.11.01

『我輩はカモである』(レオ・マッケリー)

我輩はカモである

マルクス兄弟初体験。
初体験にして彼らの代表作と言われている作品を観ましたが、とにかく全編笑いっぱなし。

財政難に陥ったフリードニア共和国は富豪のディスデル夫人に援助を依頼するが、彼女は愛人のルーファスが宰相になるのを条件にそれを承諾。
この政変の隙に隣国の指導者トレンティノはフリードニア乗っ取りを企み、チコリーニとピンキーのスパイコンビを送り込むが…。

こう書くとチャップリンの『独裁者』と同じような感じですが、あちらは床屋のシーンなどの傑作ギャグはあるものの、基本的にはヒューマニズムが印象として残りますが、こっちは、戦争を痛烈に皮肉ってはいるものの、ひたすら喋りとパントマイムでのギャグギャグギャグ。

毒舌をぶちまけ延々と喋り続ける三男グルーチョ、反対に一言も喋らず爆笑のパントマイムを披露する次男ハーポ、その間で絶妙にバランスを取る長男チコ、この中にあっては唯一まともそうな四男ゼッポ。
ほんとに実の兄弟なの?と疑いたくなる個性の違い。

我輩はカモである

チコとハーポがピーナツ売りの屋台で、隣の屋台のおじさんと繰り広げる帽子の取り合いなど、抱腹絶倒の傑作ギャグの連続ですが、一番ウケたのは、グルーチョとチコの鏡でのやりとり。

チコはグルーチョの全身が映る鏡を割ってしまいます。粉々になってしまって鏡はもうそこにはありません。
しかし鏡が割れていることを知らないグルーチョが鏡があるものと思ってそこを見ると、ちゃんと映っています。

鏡が一瞬にして直ったわけではもちろんなくて、目の前でチコがちゃんと真似をしているのです、しかもちゃんと左右反対に!
あれっ!?何かが違うなと疑ったグルーチョは、鏡を試すかのように、一瞬鏡からそれてまた現れたり、次々に変な動きをしてみたり。

他の人が同じようなことをやっているのを何度か見たことがありますが、70年も前にすでにやっていたなんて!しかも、今回のがダントツで面白い!!

抱腹絶倒の1時間強ですが、唯一の欠点は、グルーチョの喋りが凄まじすぎて字幕を読むスピードが追いつかないこと。
ハーポのパントマイムは、今まで見たパントマイムの中で一番笑えました。

大好きなビリー・ワイルダー監督も敬愛してやまないというマルクス兄弟、70年という歳月をまったく感じさせない奇跡的傑作。



[原題]Duck Soup
1933/アメリカ/69分
[監督]レオ・マッケリー
[出演]グルーチョ・マルクス/チコ・マルクス/ハーポ・マルクス/ゼッポ・マルクス

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 |  2016.01.09(土) 19:43 |   |  【コメント編集】

■>デイヴィッド・ギルモアさん

こちらこそTBありがとうございました。
堂々の1位に選ばれていましたが、それもわかります。
やっぱりなんだかんだいってこれが最強ですよね。
おっしゃるように「破壊力」、何回観ても圧倒されます。
micchii |  2011.06.27(月) 23:05 |  URL |  【コメント編集】

■こんばんは

トラバ・エコーありがとうございました。
この映画は、マルクス作品の中で、いや世界のギャグ映画の中で、最高の作品だと思います。
マルクス兄弟のアナーキーで、破壊力のある笑いが、遺憾なく発揮されていると思います。
ウディ・アレンが、彼らの信奉者であるのが、よく理解できます。
それでは、またよろしくです。
デイヴィッド・ギルモア |  2011.06.27(月) 21:48 |  URL |  【コメント編集】

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