2007.07.18

『傷だらけの男たち』(アンドリュー・ラウ/アラン・マック)

傷だらけの男たち

遅れ馳せながら、『インファナル・アフェア』組最新作、『傷だらけの男たち』観て来ました。

以前UPした「香港特區10周年電影選擧」でも作品賞を穫ったように、まさに10年に1本の傑作『インファナル・アフェア』、そのスタッフが再び集結し、主演がトニー・レオンに金城武とくれば、期待するなという方が無理。

さて、結果は…。

傷だらけの男たち


以下、ネタバレ全開。

未見の方は、ご注意下さい。


















一言で言えば、大満足とはいきませんでした。

不満を書く前に、まずは大前提から。

今回は、なるべく情報を入れないようにしていたので、公式サイトや予告編も観てないですし、いつもお世話になっている方々の感想も、ちらっと目を通しただけで、読んでないに等しいです。

でも、完全にシャットアウトしたわけではないので、わずかに漏れ聞こえてきた情報から、こういう話だと思ってたわけです。

悪役トニーに恋人を殺された金城武が、トニーに復讐する。

全然違いました(笑)

でも、おかげでストーリーは知らないも同然で済んだわけですが。

オープニング、『傷城』のタイトルが出るまでは悪くない。
『インファナル・アフェア』もオープニングで一気に引き込まれますが、今回も出だし好調、緊張感を持ってタイトルまでなだれ込みます。

が、しかし。

問題点1。これが最大の問題点なわけですが、トニーと金城武が一緒に現場検証に行くシーン、金城武の脳内映像みたいな感じで、トニーの犯行シーンが流れるじゃないですか。
あれはやっちゃだめですよ。

金城武はアル中なので、酔っ払った状態の中で、“疑い”からくる“想像”を断片として出すならまだしも、あそこまで全部出しちゃうとは。

“これは犯人探しの映画ではない”という監督の明確なメッセージなんでしょうが、せっかくストーリー予想が全く外れ、どんな展開になるんだろうとわくわくしていたところに、映画序盤にして展開確定(笑)
あそこまで出してしまうと、実は~だったと後で覆せるレベルじゃないですからね。

でも、犯人探しの映画ではない、あらかじめ情報を出しておいて、人物の内面を描くんだ、傷ついた男たちの心を描くんだ、それならそれでもいいんですよ。

ここで、問題点その2。ナレーション多過ぎ。以前、「説明台詞」はいらないというエントリーをUPしましたが、その悪いパターン。

実際にスコッチを飲みながら演技したという金城武の酔っ払いぶりも悪くないですし(酔っ払っていてあんなに走れないとは思いますが…)、何よりトニーの演技は相変わらず最高峰。
世の女性陣がメロメロになっているという眼鏡姿で、目の動き一つ、手の動き一つで、さすがトニーの自然な演技をしているのに(アンディのそれよりはかなりましですが、キスシーンだけは『恋する惑星』から進歩なくぎこちない(笑))、必要以上の“言葉”が、せっかくの素晴らしい“表情”“動き”を台無しに。

内面を掘り下げようとするなら、言葉で語れば語るほどその底は浅くなるもの。
アンドリュー・ラウ監督ともあろう人がそれをわからないはずはないと思いますが、今思えば『デイジー』に悪しき前兆があったような(笑)

そして、問題点その3。
これも結構大きいですが、ラストの金城武とスーチーのシーン、激しくいらない。
あんなものは、決定済のハリウッドリメイクで加えるようなシーンですよ(もちろん改悪)。
ハリウッド映画でもないのに、なんであんなシーンを加える必要があるのか。

もっと言えば、額を撃ち抜かれているトニーの映像もまったく不要。

銃声を聞いた金城武の表情自体は悪くないですが、どんなに譲ってもあの金城武の表情で終わるべきですよ。
金城武を画面からフェイドアウトさせておいて、銃声だけ聞かせた方がより良いと思いますが。

さて、散々文句を言ってますが、じぁつまらないかというと、そこらへんの映画よりはずっと面白い。

でも、なんといってもアンドリュー・ラウ×アラン・マックですし、期待が大きかっただけに、、もっと良くなるはずなだけに、残念…。

女性陣含め役者は悪くないですし(スー・チーが素晴らしい!)、酔いそうになるカメラワークに勘弁してくれ~となりそうにはなるものの、同じく『インファナル・アフェア』組チャン・クォンウィンの音楽も素晴らしい。
そして何より、雰囲気はいいんですよね。

問題点全てに関係しますが、問題なのは脚本。
となると、戦犯はアラン・マックとフェリックス・チョンでしょうか。

最後に、シネコンの大スクリーンで香港映画が観れるなんて、金城武&エイベックスのおかげですね(悲しいかなトニーのおかげではない…)。
こんな大スクリーンで、『柔道龍虎房』『エレクション』が観たかったなぁ(涙)



[原題]傷城
2006/香港/111分
[監督]アンドリュー・ラウ/アラン・マック
[脚本]フェリックス・チョン/アラン・マック
[音楽]チャン・クォンウィン
[出演]トニー・レオン/金城武/スー・チー/シュー・ジンレイ/チャップマン・トー/ユエ・ホア

→予告編 →他の映画の感想も読む

【関連記事】
『インファナル・アフェア』(アンドリュー・ラウ/アラン・マック)
「説明台詞」はいらない

TB(2) CM(10) EDIT

*Comment

■>anyさん

こちらにもありがとうございます。
まあそこらへんの映画よりは面白いですが、なんといっても『インファナル・アフェア』組ということで、どうしても期待が大きくなってしまいますからね。
その点では、作り手の方もプレッシャーが大きく大変だったでしょうが。

設定として心理描写に重点をおきながら、その部分が弱い、やっぱりこれが一番でしょうね。

スー・チー不要論が大勢の中、素晴らしいと思ってしまった自分は、ファンになってしまったんでしょうか(笑)
micchii |  2007.08.28(火) 13:54 |  URL |  【コメント編集】

■ご無沙汰です~

micchiiさん、こんばんは。
大変ご無沙汰しておりました。。
Blog再開したものの挨拶にも伺わずに本当に申し訳ないです。
相変らずサボり気味ではありますが、今後ともよろしくお願い致します。

さてこの作品、やっぱり期待度が高かった分、満足できなかったというのが本音でしたね。
登場人物たちの心情描写がどうも弱い感じがして、かと言ってストーリー展開が主眼に置かれてる訳でもなく。。。
決して面白くないわけではなかっただけに残念な思いが強かったです。
ラスト場面もそうですが、基本的にスー・チーの役は必要なかったように思っています。
まあ、彼女の明るさはインパクトになってはいましたけど。。。
any |  2007.08.27(月) 02:11 |  URL |  【コメント編集】

■>zoecchiさん

こちらこそTB&コメントありがとうございます。

トニーの犯行現場を見せるシーンは、すんなり受け入れられた方もいらっしゃるみたいですが、自分はかなりひっかかりました。
おっしゃるように、先に見せた割には犯人側の描写が微妙ですし。
ラストのベンチでの会話はよかったですね~。金城武もトニーとちゃんと張り合ってて見事でした。

>ほとんどトニーさんばかり見てましたが(^^;

その見方は正しいと思います(笑)
micchii |  2007.07.26(木) 14:10 |  URL |  【コメント編集】

■お久しぶりです。

TB&コメントありがとうございました~。
micchiiさんのおっさしゃるように、私も最初にトニーさんの犯行現場を見せてしまうのはどうなんだ?ってずっと思ってました。
犯人だとわからせておくには何か理由があるのかと。でもそうさせたわりには犯人側の描写がわかりにくかったかな。
ラストの病院の前のベンチでの二人の会話がなければこの映画は面白くないものになってたと思います。
正直、自分の中で消化できずに家に帰って香港版のDVDを見直してしまいました。
でも二人の演技は本当に良かったと思います。
ほとんどトニーさんばかり見てましたが(^^;

スー・チーは私も苦手だったんですけど最近、少しずつ彼女の演技もいいなって思うようになりましたね。
zoecchi |  2007.07.25(水) 17:40 |  URL |  【コメント編集】

■>bibiさん

トニーはほんとに上手いですよね、それだけでも十分観に行った価値はありました。
本文中に書きましたように、自分はトニーと金城武が直接やりあう話だと思っていたので、自分ももっと二人の間にドロドロとしたものがあってもよかったと思いました。
でも、これも書きましたが、ほんとに雰囲気は素晴らしいんですよね。
後から考えると、音楽の力が大きいような気もしますが・・・。
micchii |  2007.07.23(月) 13:33 |  URL |  【コメント編集】

トニーの演技はやっぱり上手ダナーが感想です。(これだけ・・・・)
ストーリーについての希望は卓球にもう少しエピソードをつけてほしかった。
金城武の自殺した恋人の子供の父親はトニーであって欲しかった。恋人の自殺が二人にとってもっとドロドロしたものだったらよかったなぁーって。
映画の雰囲気は良かったんですけどね。
55点です。
bibi |  2007.07.20(金) 14:18 |  URL |  【コメント編集】

■>やっほーさん

トニーはほんとに僅かな表情の変化で見事な演技をしているので、だからこそ、必要以上の説明台詞は入れてほしくなかったです・・・。

殺人シーンもそうですが、おっしゃるように、2回目以降がいいのかもしれませんね。
いきなりでは、それはないだろとなってしまいましたから。

>まあ、私はトニーさんの作品ということでえこひいきしてますけど。

わかりますよ!自分だって、セシが出てるだけで激甘評価になりますから(笑)
micchii |  2007.07.19(木) 13:44 |  URL |  【コメント編集】

■>hi-chan

ラストはやっぱりいらないですよね。「なんで明るく終わるのさ」、おっしゃる通りです(笑)

スー・チー、あまり彼女の映画を観たことがないのが幸いしたのかもしれません。
でも、最初は苦手な女優さんだったんですが、最近だんだん好きになってきました。
あの感じは彼女しか出せないんじゃないかなぁとも思いますし。

『ディパーテッド』の時もそうでしたが、結局は『インファ~』に帰るんですよね(笑)
micchii |  2007.07.19(木) 13:41 |  URL |  【コメント編集】

説明台詞、確かに、あれ?と思いましたが、これを語るトニーさんの無表情と、最後にとりとめのないお天気の話の時の表情の落差が私にはとても良かったです。

殺人シーンも最初は驚きましたが、トニーさんの哀しみを共有しつつ、見ると、又、これもアリ、と思いました。

あ、こういうことか、と分ってから見る2回目以降はますます面白く感じられましたよ。

まあ、私はトニーさんの作品ということでえこひいきしてますけど。

もちろんメガネにもやられました(笑)

私も、「柔道龍虎房」と「エレクション」大きいスクリーンで見たかったです。
やっほー |  2007.07.18(水) 16:09 |  URL |  【コメント編集】

犯行シーンは、最初びっくりしましたが、意外とすんなり受け入れられました。ああ、そういう風に見せるんだな~と。
ラストの二人のシーンは私もいらないと思いました。ってか、なんで明るく終わるのさ、と(笑)。それが救いなのかもしれませんが・・・。
スー・チーは今迄見たことのあるような役だったので、私的には満足できなかったですね。映画の中で唯一明るいキャラだったので、キャラとしては問題ないのですが。

最近またインファ~の1と3を観たのですが、やっぱり面白いですね。
hi-chan |  2007.07.18(水) 15:33 |  URL |  【コメント編集】

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傷だらけの男たち <ネタバレあり>

傷ついた二人の男の物語。久々の武ちゃんとの再会で 頭がかなり だったワタクシ(笑)哀しい役をやらせたら 武ちゃんたら もう最高っっ はまりすぎだぁぁ 美しすぎるぅぅぅ彼女をお姫様だっこして病院を走る姿が 神すこの深キョンを思い出しましたが。。。それはさ..
2007/07/31(火) 06:57:31 | HAPPYMANIA

「傷だらけの男たち」

「傷城」2006年 香港監督: 劉偉強(アンドリュー・ラウ) 麥兆輝(アラン・マック)出演: 梁朝偉(トニー・レオン)、 金城武徐静蕾(シュー・ジンレイ)、 舒淇(スー・チー)杜汶澤(チャップマン・トウ)
2007/07/25(水) 17:31:00 | 亜細亜的空間

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