2007.05.01

『ロッキー・ザ・ファイナル』(シルヴェスター・スタローン)

ロッキー・ザ・ファイナル

今回は、スタローン渾身の最新作『ロッキー・ザ・ファイナル』です。

物語は、ロッキーの墓参りのシーンで幕を開けます。

世界中の人々が、一度は名前を叫んたことがあるであろう(ないですか?)、伝説のヒロイン、エイドリアン。
これを携帯で書いている時、「えい」まで打った時点で予測変換が表示された(笑)、知らぬ人はいないエイドリアン。

でも、この時点で、「エイドリアアァァァ~~ン!!」は聞けないことが確定(笑)

最愛の妻を亡くしたロッキーは、今もちゃんと5時に起き、亀と鳥に餌をやった後、懸垂から一日を始めるような男ですが、かつての面影はなく、すっかり過去に生きる男。

妻の名を冠したしがないレストランを営み、それでも知名度のおかげで店はそれなりに繁盛。
お店の自慢は、料理ではなく、ロッキーの昔話。
アポロとの戦いなどを客に語り、写真をせがまれるロッキー、見事に過去に生きております。

そこへ、もう一人大事な人登場。
こちらもスタローン以上にくたびれた、バート・ヤング!

他には、昔少女だった頃にロッキーとちょっとしたやりとりがあった女性が登場し、いい感じになりますが、なんせ過去に生きる男ロッキー、そしてライバルはエイドリアン、いい感じ以上にはなりません(笑)

もう一人、息子も大事な役。
父親のあまりの知名度ゆえ、いつどんな時も“ロッキーの息子”として生きてきた彼は、就職もそのおかげででき、そんな立場がイヤになり、母親の墓参りにも行かなければ、たまに会いにくる父親にも冷たくします。

きっかけは、テレビ局の企画。

実際には対戦が不可能な偉大なボクサー同士を、コンピューターによって対戦させようというもの。
ロッキーに対するは、33戦無敗30KO、あまりに強すぎて人気がない、無敵の現世界ヘビー級チャンピオン。

これを観て金儲けを企んだチャンピオンのプロモーターが、ロッキーとのエキシビジョンマッチを企画。
悩むロッキー、チャンピオンも俺をバカにしてるのかと怒り心頭。

このチャンピオン、今はすっかり金の亡者たちに取り囲まれていますが、昔育ててくれた心の師と呼ぶべきトレーナーがいて、彼は以前チャンピオンにこんなことを言っていました。

一度お前をこてんぱんにぶちのめしてくれる、そんな奴がお前には必要だ。
ぶちのめされて、そこから立ち上がって初めて、お前は本当の強さを手に入れることができる、そして、その時初めて手にできるものがある、自尊心だと。

時に、人生一度も躓いたことなんかない、自分にできないことはないなんてような口をきく人がいますが、そんな人は心から信用なんかできません。

失敗をしたことのない人間に、挫折を知らない人間に、知っている人間の痛みはわかりません。

やや話が映画とそれますが、最近は、一度も殴られたことのない子供の方が多いんじゃないですかね。
ちょっと先生が手を出したくらいで、やれ暴力だなんだと騒ぐバカな親たちのせいで、ろくなことになっていませんが、教育問題で、学校よりも教育委員会よりも、一番の問題は親だと思っています。

そういう自分も先生に見事にぶちのめされたことがありますが(今ならかなり問題かも)、その時はもちろん腹も立てば悔しくもありましたが、後になれば先生と笑って振り返れますし、あの頃の体験は、自分にとって大切な財産の一つです。

閑話休題。

さて、ロッキーですが、無敗のチャンピオンと違い、戦績には23もの負けが刻み込まれています。

そして、誰もが24敗目を信じて疑わない、年寄りの無謀な戦いに挑もうとするロッキー。

父さんが笑い者になれば、僕まで笑い者になるんだ、やめてくれと息子。

しかし、先ほどの女性に少し背中を押されたロッキーは(一歩を踏み出させる一言がいい!)、息子に向かって熱く語ります。というか語りすぎ(笑)
ジャッキーの『プロジェクトBB』でもそうでしたが、どうもみんな歳を取ると説教臭くてダメですね(笑)

しか~~~し!

そんな不満も宇宙の彼方まで吹き飛ばす、伝説のテーマ曲が、ここしかないというタイミングで、満を持して、劇場中に響き渡ります。
イントロだけで泣ける必殺の曲、ビル・コンティ、あなたは偉い!

そして、このテーマ曲さえかかってしまえば、ロッキーはあの頃のロッキーに戻ります。
地獄の筋トレもなんのその、生卵は3つまとめて一気飲み、さらにとどめは、フィラデルフィア美術館広場の階段を駆け上がって拳を突き上げます(笑)

ロッキー・ザ・ファイナル

ここからは、もう語るまでもないでしょう。
ロッキー最後の雄姿をただ目に焼き付けるのみ。

一つだけ書くと、試合中、ロッキーの凄さを身をもって知ったチャンピオンに、例のトレーナーがかけた一言がいい。
「敬意を払え」

もう少しだけ書くと、試合前に野次を飛ばす客として、なんと、あのマイク・タイソンも参戦。

さらにさらに、対戦相手のチャンピオン役は実際の現世界チャンピオンであり、レフリーとリングアナにも超大物を投入、スタローンの意気込みがわかります。
まさかこんなところで、Michael Buffer氏のあの名調子が聞けるとは!
さあ皆さんもご一緒に、“Ladys and gentleman, Woooooo, Let's get ready to rumble!”

最後に、エンドクレジットが始まっても最後までご覧になることをお勧めします。
ジャッキーのNG集に負けない、ニヤリとなるいいものが拝めます。

いやあ、いいものが観れました。



[原題]Rocky Balboa
2006/アメリカ/103分
[監督]シルヴェスター・スタローン
[音楽]ビル・コンティ
[出演]シルヴェスター・スタローン/バート・ヤング/アントニオ・ターヴァー

→予告編 →他の映画の感想も読む

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『ロッキー4/炎の友情』(シルヴェスター・スタローン)
『クリード チャンプを継ぐ男』(ライアン・クーグラー)

TB(6) CM(14) EDIT

*Comment

■>zebraさん

コメントありがとうございます、返事が遅くなり申し訳ありません。

そうなんですよね、あくまでも主役はロッキーでありながら、ポーリーにも息子にも、そしてチャンピオンにも、みんなにちゃんと物語があり、その部分も丁寧に描かれているので、物語に厚みと深みがあるんですよね。

傑作は悪役や脇役にまでちゃんと物語がある場合が少なくないですが、この映画もまさにそうでしたね。15年以上ぶりに新たに新作を自ら監督して撮っただけのことはありました。

そして、“周り”を描くことはさらに進んで、『クリード チャンプを継ぐ男』も見事な傑作でしたね。
micchii |  2016.06.04(土) 18:18 |  URL |  【コメント編集】

■それぞれの登場人物たちの視点でみてました。

DVDで見ましたが。いろいろな登場人物の それぞれのおかれた状況から見れる作品でした。

まず チャンピオンとして君臨した日々も今は昔、妻のエイドリアンも亡くなり レストランのオーナーとして細々とした日々を送るロッキー。

思い出の場所に何度も来るのもエイドリアンを愛してたからにほかならない。義理の兄ポーリーとの言い合いでも

 ポーリー「オレは あいつには ひどいアニキだった こんな思い出・・・オレには ゴミだ。」
 ロッキー「愛するエイドリアンとの思い出はオレにとっては宝だ。」

 その義理の兄ポーリーも 長年つとめてきた精肉店から とうとう解雇されてしまい・・・ロッキーの店で やり場のない怒りと悲しみをぶつけていた。

 父親の”バルボア”の名で 会社でさえない日々を過ごしてた息子ともギムシャク気味。

それだけじゃない、対戦相手で 現役の若いチャンピオン メイソンにしても 秒殺KOばかりで 観客からのブーイングばかりで 実力があるのに不遇な扱いばかりで いら立ちの日々を送り
 
ロッキーとは違う形で 行き詰まりの思いを抱えていた。


<実際には対戦が不可能な偉大なボクサー同士を、コンピューターによって対戦させようというもの。>
<これを観て金儲けを企んだチャンピオンのプロモーターが、ロッキーとのエキシビジョンマッチを企画。>
 ロッキーは生きる喜びもなく、ただだらだらと生きている自分に喝を入れ、もう一度リングに立つ決心をするロッキー。
 老いても胸の内は熱く燃えてる戦う意志をすべて出し切りたいと思ってるのだから。

 このエキシビジョンマッチは 世間から 茶番のお遊びだろといわれて設定されたのが きっかけたけども  ロッキーや 家族たち それに 対戦相手のメイソンにとって 戦わないと 人生の転機を迎えれなかったと思ってます。 
zebra |  2016.05.30(月) 21:37 |  URL |  【コメント編集】

■>David Gilmourさん

こちらこそお久しぶりです。
1のリアルタイム世代でない自分たちにも、TVでいつも聞いてたあの音楽だ~!という感動がありましたから、1を劇場で観ていらっしゃると、感慨もより大きいでしょうね。
確かに1もファイナルも、根本的には何ら変わってないですね。
micchii |  2007.10.15(月) 14:11 |  URL |  【コメント編集】

■こんばんは

おひさです。

ぼくは、「1」を30年前に劇場でみたもので、「ファイナル」がとても、懐かしく思え、素直に感動してしまいました。30年の月日というものは、結構長い感じがしますが、ロッキーは基本的に変わっていなかったことがうれしかったです。
David Gilmour |  2007.10.13(土) 00:26 |  URL |  【コメント編集】

■>beraboさん

コメントありがとうございます。
TVでは観たことがあるのですが、劇場では初体験だったので、ロッキーワールド堪能しました。
劇場であの音楽を聞ける日が来るとは・・・(涙)
micchii |  2007.05.08(火) 15:53 |  URL |  【コメント編集】

■>にじばぶさん

『ロッキーⅥ』、当然観てますよ!
でも、カウリスマキが先に6を撮ってしまったので(しかもロッキー弱すぎ(笑))、タイトルがファイナルになったんでしょうかね?(笑)
micchii |  2007.05.08(火) 15:51 |  URL |  【コメント編集】

■おじゃまします

あー、堪能しました。
どっぷり浸りました、ロッキーワールド。

ファイトシーンはもう号泣でした。
あの音楽と映像にはいつの時代もやられますねぇ。
TBさせていただきました。
また、寄らせてください。
berabo |  2007.05.08(火) 00:37 |  URL |  【コメント編集】

■カウリスマキ

『ロッキーⅥ』もご覧になってますよね??(笑)
にじばぶ |  2007.05.04(金) 00:39 |  URL |  【コメント編集】

■>hi-chan

この手の映画に臭い台詞は必要ですし、決め台詞的に言われるのは全然問題ないんですが、いかんせん、長い(笑)
どこらへんまでが許されるかは微妙ですが、普段の日常生活で、一人の人間があんなに長々と話し続けたら不自然じゃないですか、だからまだ裁判所のシーンはいいんですが、息子相手は長過ぎ。
階段を駆け上がるのはいいですが、生卵は真似するのはちょっと勘弁ですね(笑)
micchii |  2007.05.02(水) 15:19 |  URL |  【コメント編集】

■>cardhuさん

ほんとに問答無用の魅力、自分もできればもう1回行きたいところです。
エンドクレジット、自分も仲間に入りたかったです(笑)
リングアナの方は特に世界一有名で、ボクシング以外にもK1や総合格闘技なんかでもリングアナやってますので、その手のものを観ていればどこかで見かけると思いますよ。
micchii |  2007.05.02(水) 15:15 |  URL |  【コメント編集】

■>Carolitaさん

やっぱり叫んだことありますよね、自分一人だったらどうしようと思ってました(笑)

チャンピオン側では、あのトレーナーはいいアクセントになってましたね。

そうそう、70年代、こだわってましたね(笑)
1を劇場で観ている人には、よく言ったロッキー!と拍手喝采のシーンでしょうね。
micchii |  2007.05.02(水) 15:11 |  URL |  【コメント編集】

私は臭いセリフに感動しましたよ~
こういう映画には直球セリフも悪くないなと勉強になりました(笑)。

生卵のシーンはちょっとうぇ~~~ってなりました(大笑)。
hi-chan |  2007.05.02(水) 13:54 |  URL |  【コメント編集】

■よかったですね!!!

 ここまで気合入れていれば、細かいことは気にならなくなりますよね!問答無用の魅力でした。もう一回くらい映画館に観に行きたいと思ってます。

 エンドクレジットもいいですね。いかにロッキーが愛されているかということがひしひしと伝わります。レフリーやリングアナも知ってる人は知ってるという大物だったんですね・・・なるほど。
cardhu |  2007.05.02(水) 00:23 |  URL |  【コメント編集】

■人生は闘魂だ!

micchiiさん、こんにちは~っ。
記事を拝見しながら、劇場での興奮ぶりが手にとるように伝わってきて、とても楽しく拝見させて頂きました!
「エイドリアァ~~~~~ン!」。
ああ、「卒業」の「エレェ~~~~ン!」と並び、人生で何度真似ったことか・・・(爆)

やっぱりmicchiiさんはセリフの目のつけどころが違いますね。
「敬意を払え」
そうそう、あのトレーナーの一言にも、ロッキーの伝説を感じさせてくれますよね!
わたしは、ガンを飛ばしあう2人が試合前に「80年代」を「70年代」に訂正するロッキーの律儀さにニヤリとしてしまいました(笑)
ホント、いいもの見ましたよ!
Carolita |  2007.05.01(火) 15:22 |  URL |  【コメント編集】

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