2006.11.17

『殺しが静かにやって来る』(セルジオ・コルブッチ)

殺しが静かにやって来る

「昔、夫から聞いたわ、復讐者の話を。
 影を見れば賞金稼ぎもふるえ上がる。
 名はサイレンス。
 男の歩いたあとは、死の沈黙が訪れるからよ」

今回は、マカロニ史上の極北に燦然と輝く戦慄の傑作、『殺しが静かにやって来る』です。

より戦慄を味わっていただくために、内容について触れるのはやめておきましょう。

監督は、『ガンマン大連合』に続いて登場のセルジオ・コルブッチ。

凄いのはキャストで、西部劇なのに、主役のサイレンスに扮するのはなんとジャン=ルイ・トランティニャン。
当ブログでは『男と女』以来の登場です。

『男と女』のわずか2年後、人気絶頂期にこんな作品に出ていることが凄い。
口がきけない設定なので台詞は一言もありませんが、甘いマスクに似合わない超凄腕の早撃ち。

殺しが静かにやって来る ジャン=ルイ・トランティニャン

トランティニャンと対決する冷酷な賞金稼ぎロコに、クラウス・キンスキー。
この上なく憎たらしい悪役なのに、どこまでも魅力的、その存在感は圧倒的。

殺しが静かにやって来る クラウス・キンスキー

冒頭の台詞の主であり、サイレンスに復讐を頼む女性に、当ブログでは『アイガー・サンクション』以来の登場となるヴォネッタ・マギー。

殺しが静かにやって来る ヴォネッタ・マギー

あと、普通西部劇といえば、ハリウッド西部劇でもマカロニでも、舞台は荒野ですが、この映画は最初から最後まで雪、雪、雪。その点でも異色な映画です。

さらに音楽は、マカロニといえばこの人エンニオ・モリコーネ。
雪山を馬で行くサイレンスを延々と追うオープニングクレジット、そのバックに流れる、その後も繰り返されるテーマ曲。
美しくも哀しいその調べ、マカロニの範疇にとどまらず、映画音楽の歴史に残る名曲中の名曲でしょう。

問題のラストですが、今までににUPした中では、最高峰では『情婦』『スティング』『悪魔のような女』、あれらは“やられた!”という感じですが、この映画の場合、そんな生易しいものではありません。
観た後3日くらいは引きずるかと…。
あるベクトルでは、映画史上の頂点に君臨するラストシーンでしょう。

DVDの特典映像には、発掘されたという【もうひとつのエンディング】なるものが収録されていますが、もうひとつでほんとによかった。
こんなエンディングでは、凡百のエンディングと何ら変わりません。

ここまで煽っておいて、ほんとにそんなに凄いんかい?と思われるかもしれませんが、騙されたと思ってご覧になってみて下さい。
きっと想像の上を行くことと思います。

最後に、最近は原題をそのままカタカナにした邦題が氾濫する中、『Il Grande silenzio』(英題は『The Great Silence』)を『殺しが静かにやって来る』とした邦題のセンスが素晴らしい。



[原題]Il Grande silenzio
1968/イタリア・フランス/105分
[監督・脚本]セルジオ・コルブッチ
[音楽]エンニオ・モリコーネ
[出演]ジャン=ルイ・トランティニャン/クラウス・キンスキー/ヴォネッタ・マギー

→予告編 →他の映画の感想も読む

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*Comment

■>都人ぶぶづけさん

ずいぶんと長い間いただいたコメント放置したままで大変申し訳ありませんでした。
またお越しいただいてありがとうございます。

以前、皆様にカテゴリーごとにお薦め映画を投稿していただくという企画を行ったんですが(一応まだ募集中です)、「衝撃のラスト!」にお二人から投稿があったのが『隣人は静かに笑う』でした。

未見なのでぜひ観てみたいですが、「見ないほうが良かったかもしれない」とおっしゃるのも気になります。
でも、投稿していただいた映画はいつかは全部観るということにしておりますので、この映画もいつかはチャレンジします。
micchii |  2011.02.02(水) 00:57 |  URL |  【コメント編集】

■主人公が!アレレ....

 前略 またコメントします。
 えらいことだ。あんなラストは、脳天気なアメリカでは通用しないと思いきや、最近、ありました、ありました。「隣人は静かにー」という作品。ある意味ではそっくりなラスト。血も涙もないラスト。そして主人公が「えらいことになっとります」 映画狂で未見の人は出来れば見て頂きたいが、見ないほうが良かったかもしれないと五分五分の想い。ああでも観たい! 何度でも観て歯ぎしりをしたい。たかが作り物、映画と割り切ってます。でないと.観た後、寝られない。嗚呼苦しい。寝汗かく...。
 それにしてもナタ様の親父さん(クラちゃんとあえて言わせてもらおう)が若死にしたのが惜しい。もっと映画狂人を狂わせてくれたら良かったのに。あんな雰囲気と面持ちの俳優、他に知らん。夜道で出くわしたら気絶しそう。
 早々
都人ぶぶづけ |  2011.02.01(火) 19:17 |  URL |  【コメント編集】

■>都人ぶぶづけさん

こちらにもコメントありがとうございます。
ジャン=ルイ・トランティニャンもかっこよかったですが、この映画はとにかくクラウス・キンスキーの存在感が最高ですよね!
確かに「夕陽のガンマン」を思うと出世しましたね。
micchii |  2011.01.16(日) 00:28 |  URL |  【コメント編集】

■父親バンザイ!

あのナスターシャ・キンスキーのお父さんは、とにかくエライ! あの存在感は娘にも受け継がれている。最初は似ていないと思っていたが、よくよく観ると目のあたりが....。
よくぞ「夕陽のガンマン」の情けない役から出世したものだ。なんせ主人公の愛銃を懐に納めるんだから。
もう一度言う。ナスターシャの親父さん、とにもかくにも「バンザイ!」
都人ぶぶづけ |  2010.11.09(火) 12:27 |  URL |  【コメント編集】

■>welica37さん

こちらこそ初めまして、改めまして、コメントありがとうございます。
「男ならこれを観ろ!」はもちろん、他のカテゴリーも、ぜひぜひたくさん投稿して下さいませ。
楽しみにお待ちしております。
micchii |  2009.09.18(金) 17:20 |  URL |  【コメント編集】

■はじめまして

初めまして!ご挨拶がおくれてすみません。
B級映画が大好きなwelica37と言います。好きなジャンルは、マカロニ・ウェスタン、カンフー物、ブラック・プロイテーション、日本の任侠物などです。
「男ならこれを観ろ」に参加させてもらってもいいですか?
welica37 |  2009.09.17(木) 20:33 |  URL |  【コメント編集】

■>welica37さん

コメントありがとうございます。
衝撃のラスト!と謳っている映画は少なくないですが、ここまで凄いのもそうはないですよね。
セルジオ・レオーネに比べると扱いがいまいちですが、コルブッチの偉大さはもっと語られてもいいと思います。
micchii |  2009.09.17(木) 11:50 |  URL |  【コメント編集】

■凄すぎ!!

衝撃のラスト・・・
Fネロの「続荒野の用心棒」がマカロニの中で
最高だと思っていましたが、これもスゴイ!!
名作です。さすがコルブッチ&モリコーネの曲も!
welica37 |  2009.09.15(火) 22:34 |  URL |  【コメント編集】

■>よしぼうさん

こちらにもありがとうございます。
自分はほとんど何も知らずに観たので、かなりびっくりしました。
特にマカロニって、散々痛めつけられても、最後は勝って去っていくというパターンじゃないですか、ですので、ほんとにびっくりしました。
そして、おっしゃるように、クラウス・キンスキーがほんとに魅力的ですよね。
ここまで魅力的な悪役って、映画史上でも屈指だと思います。
micchii |  2009.06.01(月) 15:49 |  URL |  【コメント編集】

■悪の魅力

衝撃のラストについては、
さんざんあちこちで言われているので、予想の範囲内でした。
確かにあそこまでされては、どうしようもないな。
と、思ったところで起こったことには、びっくりしましたが。
原題はかなりイヤミだなと感じました。
一面真っ白な中で展開する物語はかなり良かったです。
主人公のトランティニアンもいいんですが、
信じられないことに、
それ以上にクラウス・キンスキーの悪役に、
最高の魅力、そして男の色気を感じてしまいました。
彼の代表作である、
「アギーレ」と「フィツカラルド」が見たくなって、
思わずDVDを購入してしまいました。
よしぼう |  2009.05.29(金) 17:42 |  URL |  【コメント編集】

■>にじばぶさん

おおぉぉぉ~!ご覧になりましたか!
ありがとうございます。

>エンドロールが流れても、
「さーて、ここから衝撃のラストがくるんだな。映画って何て楽しいんだろう。何がくるのかな?この展開から一体何が?!」
と、固唾をのんで、けなげに画面を見守る私。

すいません、お腹を抱えて笑いました(笑)面白すぎです。想像しただけでも、その場に流れる空気のなんと素晴らしいこと(爆)

でも、言葉に嘘偽りは無かったと言っていだだけてよかったです。
不満なのはよくわかります(笑)

でも、DVDに付いていた特典映像の「よくあるハッピーエンド」は、もっと不満ですよ(笑)
micchii |  2007.04.13(金) 13:25 |  URL |  【コメント編集】

■観ました!

やっと観れました。
数ある宿題映画の中から敢えてこの作品を選びました。

なんせmicchiiさんが『衝撃のラスト!』に推す作品なのですから。

わくわくしながらビデオをデッキに挿入。
そして最後までわくわくしながら鑑賞。

そしてそしてラストシーンでわくわく感が最高潮に!

エンドロールが流れても、

「さーて、ここから衝撃のラストがくるんだな。映画って何て楽しいんだろう。何がくるのかな?この展開から一体何が?!」

と、固唾をのんで、けなげに画面を見守る私。

最後に画面が黒くなり、哀しげなBGMが消えていく・・・


やられました。
確かに凄いラストです。
でも“やられた感”が強すぎて、不満です。(笑)
だけど3日間は衝撃が残るってのには、同意いたします。
micchiiさんの言葉に嘘偽りは無かったです。

だけど、不満です。(笑)
にじばぶ |  2007.04.10(火) 00:37 |  URL |  【コメント編集】

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