2006.10.09

『勝利への脱出』(ジョン・ヒューストン)

勝利への脱出

先日オシム監督について書いたところで、今回は久々のサッカー映画、スタローン主演の『勝利への脱出』です。

この映画、先日『GOAL!』へのコメントの中で5011様にお勧めしていただきました。
5011様、ありがとうございます!

第2次大戦中の連合軍捕虜収容所。
捕虜たちの遊びのサッカーの面倒を見ていたのが、マイケル・ケイン扮する元イングランド代表の大尉。
そんな彼に声をかけたのが、マックス・フォン・シドー扮するドイツ軍の大佐。
こうして実現することになった、連合軍捕虜チームvsドイツ軍の精鋭チーム。

勝利への脱出 マイケル・ケイン マックス・フォン・シドー

ドイツ軍の目的はもちろんプロパガンダ。
占領下のパリの大観衆を前に、捕虜チームをこてんぱんにやっつけようというわけです。

一方の捕虜チーム。
もちろん一泡吹かせたい思いはあるものの、普段より待遇が良くなり、単純にサッカーをやりたいという感じ。

しかし実は、捕虜の指揮を取るイギリス軍大佐とパリのレジスタンスの間では、これを機に捕虜チームを脱走させようという計画が練られていた…。

というわけで、脱走ものとしてもそこそこよくできてますが、脱走を観るなら『大脱走』を観るべきでしょう。
この映画のポイントはあくまでもサッカーです。

パリのレジスタンスが下水道から掘ったトンネルがスタジアムの更衣室に通じ、計画通りハーフタイムに迎えが来ます。
脱走しようと思えばできるわけです。

しかし、彼らはその場に立ち止まりました。
前半を終わって1-4、このまま引き下がるわけにはいきません。

たとえこのまま自由の身になれたとしても、ドイツ軍にいいように利用されて、無様な惨敗。
今は捕虜の身でも、元は皆名だたる名選手たち。
また収容所に逆戻りになろうと、このまま引き下がっては、サッカー選手としての誇りが許せません。

この計画のために自らの単独の脱走計画がふいになったり、この作戦のために脱獄してレジスタンスと連絡を取ったり、その後わざと捕まって収容所に戻ったりと、一人命を張ったスタローンは、「待ちに待った脱出だ」と譲りませんが(彼はサッカーに関しては素人なのでサッカーへの誇りはありません)、キーパーのスタローンが試合に出てくれないことには試合になりません。

そんなスタローンを、捕虜の一人として出演しているペレが説得します。
「今やめると、心が一生傷を負う、出てくれ」

ハーフタイムも終わり、ピッチに姿を現す選手たち。
すっかり脱走が成功したと思っていたイギリス軍の大佐はびっくり。

さあ、連合軍の反撃開始です。
サッカーシーンの監修をしたのはペレ。

1点、また1点と返すうちに、大歓声の観客と一緒に、脱走のことなんか忘れたかのように大佐も拍手。

そして、ついに決まった同点ゴール!
しかし、ラインズマンがノーゴールの判定。
公平を期すためにと選ばれたスイス人審判ですが、もちろんドイツ軍は買収済み。

猛抗議する捕虜チーム。
ホッと一息のドイツ軍幹部。
そんな中にあって、マイケル・ケインと心を通じ合わせているマックス・フォン・シドーだけが不満な顔をしています。

勝利への脱出 マックス・フォン・シドー

残り時間もわずか、いよいよ絶望的か…。
とここで、前半に相手の悪質なタックルで負傷退場していたペレが出場を志願、痛い体を引きずりながら懸命にゴールを目指します。

そして、右サイドから上がったセンターリングに、ペレのオーバーヘッドキック炸裂!

勝利への脱出 ペレ

これには、幹部を隣にしてなんとマックス・フォン・シドーも拍手!
もちろんスタジアムは熱狂の渦。
「勝利を!勝利を!」

プロパガンダのはずが、逆にパリ市民の心に火をつけた捕虜チーム。
さあこのまま一気に逆転か?

しかし、ここでまた審判が暗躍。
ドイツチームにペナルティキックが与えられます。

またもや猛抗議する捕虜チーム。
ブーイングが吹き荒れるスタジアム。

そんな中、数万人のパリの観客から、あの歌の大合唱が始まります。

1937年『大いなる幻影』、1942年『カサブランカ』、そして1981年『勝利への脱出』。
ドイツ軍への抵抗といえばこの歌、ご存じ「ラ・マルセイエーズ」。
数万人の「ラ・マルセイエーズ」の大合唱、今回も鳥肌もの。

この後のペナルティキックの行方、そしてラストは観てのお楽しみとしておきます。

さて、肝心のサッカーですが、捕虜の中から各国の名選手を集めたという設定なんですが、実際に世界各国の名選手が参加しています。
1981年の映画なので、人によってはいいおじさんになってますが、ほんとに凄いメンバー。

まずブラジルからは、先ほどから登場している“サッカーの王様”ペレ。

イングランドからは、唯一世界を制した1966年W杯で主将を務め、世界最高のDFと謳われたボビー・ムーア。
その名に恥じない見事なタックルは健在。

アルゼンチンからは、1978年W杯優勝メンバーでもあるオズバルド・アルディレス。劇中で華麗なヒールリフトを披露しています。

ベルギーからは、代表の主将も務め、1960年、61年、65年、75年の全欧州リーグの最多ゴール記録保持者ポール・バン・ヒムスト。

さらに、元ポーランド代表主将カジミール・デイナ、元ノルウェー代表ハルバー・ソレンセン、元デンマーク代表ゾーレン・リンステッド。

他にもオランダ、スコットランド、アイルランドからも選手が参加しています。

素人ながらなんとか仲間に入れてもらったという設定のスタローンも、ゴール前の競り合いのシーンでプロ選手を使うという申し出を拒否し、指を骨折したり肩を脱臼したりと大奮闘のようです。

勝利への脱出 スタローン

監督は、『マルタの鷹』『アフリカの女王』などの名匠ジョン・ヒューストン。
音楽のビル・コンティも盛り上げどころを心得ています。

『シーズンチケット』にはシアラーが出てましたし、『GOAL!』ではFIFA全面協力の下、実際の試合のピッチにカメラが入りました。

ですが、メンバーの豪華さでは何といってもこの映画でしょう。
ペレのオーバーヘッドキックは必見です!



[原題]Escape to Victory
1981/アメリカ/116分
[監督]ジョン・ヒューストン
[音楽]ビル・コンティ
[出演]シルヴェスター・スタローン/マイケル・ケイン/ペレ/マックス・フォン・シドー

→予告編 →ペレのオーバーヘッドキック&ラ・マルセイエーズ →他の映画の感想も読む

【関連記事】
ワールドカップと一緒に楽しみたいサッカー映画11選
映画の中の「ラ・マルセイエーズ」
『GOAL!』(ダニー・キャノン)
『カサブランカ』(マイケル・カーティス)
『シーズンチケット』(マーク・ハーマン)

 

TB(3) CM(2) EDIT

*Comment

■>chibisaru様

TB&コメントありがとうございます。
ペレのオーバーヘッドはほんとに美しかったですよね。
やっぱり、何事でも“本物”がやると違いますよね。
micchii |  2006.10.12(木) 11:41 |  URL |  【コメント編集】

■ペレのオーバーヘッド♪

こんにちは。
サッカーのことをあまり知らない私でも十分楽しめる作品でした。
ペレのオーバーヘッドのシーンのスローの美しいことといったら♪
素晴しいプレーって美しいものだなぁと感じました。脱走のシーンも一体感あったし。。。
素敵な作品だと思います
chibisaru |  2006.10.11(水) 14:12 |  URL |  【コメント編集】

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