2006.10.06

「説明台詞」はいらない

79年前の1927年10月6日は、世界で初めてトーキー映画が公開された日らしいです。
未見ですが、残り3分の1からトーキーに変わるという『ジャズ・シンガー』ですね。

サイレント時代の俳優は、どんなに悪声でも、英語の訛りが酷くても、容姿が端麗ならそれでOKだったわけですが、悪声や訛りの酷い俳優はたちまち職を失うことになったわけです。
そこらへんの内幕は、以前UPした『雨に唄えば』が詳しいので、未見の方は「Singin' In The Rain」を楽しむついでにそちらをご覧になってみてはいかがでしょうか。

サイレント映画は、当ブログでは3本UPしています。
チャップリンの『キッド』、ルビッチ監督サイレント期の代表的傑作『ウィンダミア夫人の扇』(これのリメイクが『理想の女』)、21世紀を目前にしてモノクロのサイレントを発表したカウリスマキの『白い花びら』

どの作品も、話の展開上どうしても必要な核心部分は字幕が出るものの、基本的にもちろん台詞はなし。
ですが、何一つ困ることはありません。

一番わかりやすいのはチャップリンで、『モダン・タイムス』に代表されるように、動作で笑わせてくれるので、これはある意味簡単です。

一番凄いのは『ウィンダミア夫人の扇』
役者の口は動いていながら何を言っているかは聞こえないわけですが、ちょっとした目の動きや、小道具の唸るような使い方で、どんなことを話しているのか手に取るようにわかります。
そして、80年後の現在でも、こんなにお洒落な映画はそうはありません。

この前『マイアミ・バイス』について書いた時に、「“描かなくてもわかる”あの先の数分間を描かずに、さっと幕を下ろすあたりはさすが」と 書きましたが、最近はこの“描かなくてもわかる”ことまで描いてしまう映画があまりに多い。
それに加え、「説明台詞」があまりに多すぎる。

目の前に映像があるのに、その状況をわざわざ俳優が台詞で説明したり、登場人物の思いや、作り手のメッセージが、一から十まで台詞になっています。
ずいぶんと観客もなめられたものですが、作り手から言わせれば、言わなきゃわかんないだろう?ということでしょう。
確かに、インターネットでいろいろ感想を見ていると、「~のシーンの意味がわからない」という言葉をよく見かけます。

ですから、これは作り手だけの責任でもなくて、お互いに悪循環でどんどんこういう事態が進んでいるんでしょうね。

トーキー映画記念の日に、こんなことを考えてみました。

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【関連記事】
『キッド』(チャールズ・チャップリン)
『ウィンダミア夫人の扇』(エルンスト・ルビッチ)
『白い花びら』(アキ・カウリスマキ)

 

TB(1) CM(4) EDIT

*Comment

■>cardhu様

板谷波山は名前を聞いたことがあるくらいですが、
『HAZAN』、☆☆☆☆☆でしたね。
伝記映画なのにナレーションや台詞が少ないというところがよさそうですね。
寺島アニキの米屋が気になります(笑)
『BROTHER』、「Fuckin' Japぐらいわかるよ馬鹿野郎!」はよかったですね(笑)
micchii |  2006.10.12(木) 11:11 |  URL |  【コメント編集】

■最近観て

セリフが少なくていいなぁと思ったのは『HAZAN』という映画でした。この監督の最新作『アダン』にも期待してます。

『男たちの挽歌』はけっこう自分の心情を語りますが、それでもつまらない状況説明のセリフはないですからねぇ。

北野監督は『BROTHER』もラスト直前までよかったのに・・・。
cardhu |  2006.10.09(月) 23:32 |  URL |  【コメント編集】

■>イエローストーン様

TB&コメントありがとうございます。
同感していただいて嬉しいです。
それだけ観客のレベルが下がってきたということもあるんでしょうが、あまりの説明台詞の多さにほんとにうんざりしています。
プロフィールで最初に挙げているジョニー・トーとアキ・カウリスマキ、彼らは台詞に頼らないところがいいです。
1999年にもなってモノクロのサイレントを撮ったカウリスマキは言うまでもないですが、ジョニー・トーも『柔道龍虎房』で男女3人が肩車を2段にする名場面なんか、台詞は一言もないのに、その映像だけで全てが伝わってくるんですよね。
北野武監督作品の中では、自分も『あの夏、いちばん静かな海。』がダントツで好きです。
micchii |  2006.10.09(月) 14:31 |  URL |  【コメント編集】

同感です!
説明台詞いらないですね。

私も「キタノブルー」でそのことについて記述しましたが、本当に邪魔です。あれでは、名セリフなど生まれません。

本当にそう思います。
イエローストーン |  2006.10.08(日) 16:18 |  URL |  【コメント編集】

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聴覚障害者の茂は、ゴミ収集の仕事の途中、壊れたサーフボードを拾う。そして修理し、海へと向かう。恋人の貴子はいつも浜辺から練習する茂を見ている。
2006/10/08(日) 16:20:29 | 取手物語~取手より愛をこめて

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