2006.07.22

『エレクション~死の報復~』(ジョニー・トー)

エレクション 死の報復

『我左眼見到鬼』以来久々のジョニー・トー監督作品、第29弾、最新作『エレクション~死の報復~』です。

1以上にかなりきついとの噂は聞いていましたが、噂に違わぬきっつい展開。
R18指定をつけたとしても、日本で公開できるんですかねこれ。
もし公開されたとしても、間違ってもデートなんかで観に行かぬよう(笑)

さて、まだ1回観ただけですし、未見の方のが多いと思いますので、今回はさらっといきます。

エレクション 死の報復

ウォン・ティンラム御大が樂(サイモン・ヤム)にこうおっしゃってました。

私が会長の座に就いた時も、任期の2年を超えてその座に居続けたいと望んだ。
だが、長老衆の言葉に耳を傾け、身を引くことを決めた。
そうしなかったら、行く先は一つしかない、わかるな。(意訳が入っておりますので御了承下さい)

その言葉に耳を傾けなかった樂。
次の会長の座はお前だとジェット(ニック・チョン)をたぶらかし邪魔者を消させ、権力の座にしがみつこうとする樂。

その座に挑もうとするのは、前回の会長選挙では樂に手を貸した、若き実力者ジミー(ルイス・クー)。

樂はジミーに会長選挙に出ないように迫りますが、もう手遅れですよ、2年前あなたはこうおっしゃった、2年経ったら好きなようにしていい、あの言葉をお忘れですか?(またもや意訳。というよりまだ字幕を逐一追っていないのでだいたいの感じ)

勝ち目のないことを悟った樂は、ジミー暗殺にジェットを差し向ける…。

結末は書きませんが、ジミーとジェットの対峙のシーンがこの映画の白眉でしょう、撃ち合いも刺し合いも殴り合いもないのにこの張り詰めた空気、ゾクゾクと震えがきます。

エレクション 死の報復 ニック・チョン

前作もそうだったと思いますが、この2作が“重い”のは、アクションに銃を使っていないところ。
銃なら遠く離れた所から引き金を引くだけ。
人を殺すという結果に変わりはなくとも、ここまでどんよりした気持ちにはなりません。
『SPL/狼よ静かに死ね』で、ウー・ジンがサイモン・ヤムの部下たちを次々に切り刻んでいった時に覚えたあの感覚、あれです。

しかも、ジミーは涼しい顔をしておきながらやっていることが一番エグい。
あんな拷問を見せられたらそりゃ他の面子は落ちますよ。

あと、中心は黒社会内部の抗争なわけですが、そこに絡んでくるのが本土との関係。
本土側の中心人物は、『ブレイキング・ニュース』でリッチーと心を通わせる殺し屋を演じたユウ・ヨン。

彼とジミーとの対峙のシーンも大きな見せ場。
あんなに冷静沈着に非情に事を運んできたジミーが、初めて取り乱します。
香港の黒社会内部の血みどろの争い、しかしそれも所詮はお釈迦様の掌の中の孫悟空でしかないのか…という、ここが唸らされるところ。

エレクション 死の報復 ユウ・ヨン

ジョニー・トー監督自身も語っているように、返還から9年、香港の人々が抱いてきた期待、不安、畏れ。
一番のテーマは“香港人”としてのアイデンティティー。

多くの命が犠牲になる中、新たにこの世に生まれてこようとする命。
彼(彼女)が大きくなった時、黒社会の、そして香港の未来は…。

今まではどの作品も80分~100分だったところを、今回は前後編合わせて3時間の渾身の一作。
ジョニー・トー監督、恐れ入りました。
そして、ぐったり疲れました(笑)

いずれほとぼりが冷めた頃、前後編合わせてもう1回じっくり書けたらなと思います。



[原題]黑社會以和為貴
2006/香港/92分
[監督]ジョニー・トー
[製作]デニス・ロー/ジョニー・トー
[出演]ルイス・クー/サイモン・ヤム/ニック・チョン/ラム・シュー/ウォン・ティンラム/ラム・カートン/チョン・シウファイ/ユウ・ヨン

→予告編 →他の映画の感想も読む

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*Comment

■>5011さん

ついに輸入盤買ってしまいましたか!
でも、いつ公開されるかわからないですから、早く観たくなりますよね。
そして、おっしゃるように、休憩を挟んで劇場で観たいですね。

名刺を捨ててしまうところは痺れましたね~。
そんなの似合わないよと思ってたら、躊躇することなく捨てましたから。

確かに、ルイス・クーも頑張ってはいますが、百戦錬磨のサイモン・ヤムとレオン・カーフェイ2人分を背負うにはさすがに無理があり、その点ではちょっと弱いところもありますね。
micchii |  2007.08.18(土) 10:46 |  URL |  【コメント編集】

■観ましたよ~

ついに輸入盤を買ってしまいました。
観終わっての感想は1・2を休憩はさんで劇場で見たいなーってこと。

>ジミーとジェットの対峙のシーンがこの映画の白眉でしょう

同感です。
ニック・チョンが別れてからジミーから渡された名刺を躊躇することなく捨ててしまうとこがまた泣かせる。
あくまで一匹狼。

1作目がロクとディーの対峙が映画にメリハリをつけていたのに対し、2作目はロクの魅力も一気に無くなっちゃってジミーが一人で映画を背負ってる。

ケチをつけるとするなら、そこに乗れるかどうかというとこかな。
5011 |  2007.08.11(土) 10:47 |  URL |  【コメント編集】

■>むぅさん

ついにご覧になりましたか!

>やっと後編が観れて落ち着きました~。

これ凄くわかります(笑)
前編だけでも十分映画として成り立ってますが、やっぱり中途半端ですからね。

>ウォン・ティンラムの・・・のシーンでは、執念深さが出てて嬉しくなりました♪

あそこは笑いどころだという意見が多いですよね、転がりぶりに(笑)

さて、DVDですが、むぅさんが買われたのは通常版でしょうか?
おっしゃるようなカードは自分のには入ってませんでした。

代わりに、トーさんのコメントやストーリーや写真が載った20ページ弱の冊子と、ポストカードが7枚入ってました。
あっ、こちらは2枚組特別版です。

そういえば、特典ディスクに入っているらしい、ラム・シューのインタビューまだ観てませんでした・・・。
micchii |  2007.07.19(木) 13:53 |  URL |  【コメント編集】

■やっと観ました

micchiiさん、こんばんは。
日本での公開が待ち切れず、私も遅ればせながら香港版を購入し鑑賞しました。
トー先生初体験が今年の『黒社会』だったワタクシ。
やっと後編が観れて落ち着きました~。
サイモン・ヤムが思ったより目だってない感じがしましたが、
ウォン・ティンラムの・・・のシーンでは、執念深さが出てて嬉しくなりました♪

ところでmicchiiさんにお尋ねしたいのですが、
私はYESASIAで購入したんですが、DVDケースの中に、カードが1枚入ってませんでしたか?
表面に男たちのイラストと「古惑仔之義 1.0以和為貴」と書いてあります。
ネットゲーム?か何かで使うためのものなんでしょうか・・・
裏面には、映画に出てくる「アイテム」のイラストが4点描いてあるんですが、
そのうち「飛機頭」というのがわからなくて・・・
こんなの出て来たっけ?と首をひねっています。
人の頭のカタチのシルエットのようなものが描いてあるんです。目のところにグラスのようなものがかかってる・・・?

ちなみにあと3点は「大鐵鎚」(例の大きなトンカチみたいな)
「碎肉機」(…例のアレです)
「綁架面具」(ラム・シューもつけてたお面)です。


むぅ |  2007.07.18(水) 22:32 |  URL |  【コメント編集】

■>hi-chan

ウォン・ティンラム、いつも以上に今回は美味しい役でしたね。
例のシーン、スプラッター系の映画を観る人にはたいしたことないんでしょうが、そっち系は観ないので、結構きました・・・。
ユウ・ヨン、ほんとに渋すぎです。
今度はチェン・ダオミンと二人で料理を作るシーンが観たいです(笑)
ラム・シュー、締めてると思ってたので、そのまま散ったと思ってました・・・。
もう1回ちゃんと観ます(汗)
micchii |  2006.11.22(水) 13:24 |  URL |  【コメント編集】

ウォン・ティンラム演じるタンの言葉を聞き入れなかったロクは、もうそこで終わってましたね・・・。
あのグロいシーンは、あ、ヤバイ、と思った瞬間に映って「ああ・・・見ちゃった・・・(笑)」と思いましたが、その後は薄目で見てました。
深く考えるとうぇ・・・って感じなので、忘れるようにしましたが(苦笑)。
ユウ・ヨン、シブかったですね~。
チェン・ダオミンと並んでシブくてかっこいいオッサン俳優として認識してます(笑)。

ところでラム・シューって散ってましたっけ?
棺桶が開いたのは覚えてるんですが、あの辺、記憶が曖昧で・・・
hi-chan |  2006.11.22(水) 11:59 |  URL |  【コメント編集】

■>ryo様

ルイス・クー、黒いですよね~(笑)
ジミーとジェットのシーンほんとにたまらないですよね。ニック・チョンが漂わせる危うさがいいですよね。
そして、ユウ・ヨン!トーさんが続けて使いたくなるのも頷けますよね、渋いです!

「トラックの 荷台開けば ラム・カートン」

傑作です!ぜひ「お~いお茶新俳句大賞」に応募して下さいませ。最高賞の文部科学大臣奨励賞間違いないと思われます!!
micchii |  2006.07.23(日) 12:21 |  URL |  【コメント編集】

■>森と海様

ほんとにぐうの音も出ないですよね。ぐったり疲れました。
ホラーはほとんど観ない人間なのであれでも結構エグいと思ったんですが、もっと凄いのが垂れ流されてるんですね・・・。
なら公開は大丈夫そうですね。別の意味で公開されないかもしれませんが。アメリカは買ったみたいですが、日本の会社は今のところ買わなかったみたいですし。
micchii |  2006.07.23(日) 12:15 |  URL |  【コメント編集】

■黒光り★

いやぁ~すごいですね、ルイス・クーの黒さ!!
単なる黒社会映画ではなく政治的な風刺などもあり、なんと言いますか、とても『香港』な香港映画だと思いました。
そして、ジミーとジェットのシーンの緊張感たまりません!前編からの2人の関係もなんかイイですね♪
本作でとても重要な役を演じているユウ・ヨン。渋い役者ですね!演技も上手い!
かわいいワンちゃんたちのシーン観てる間は自然と体が固まってしまいます。。。劇場で観れるのかなぁ。。。

トーさん流、男のデートムービーですね(笑)。
とにかく早く日本語字幕で観たい!!

長くなりましたが最後に黒社会俳句を一句。

トラックの
      荷台開けば
            ラム・カートン

すみませんでした・・・


ryo |  2006.07.22(土) 23:48 |  URL |  【コメント編集】

■届きましたですね。

うちの届きまして、とりあえず1回流してみました。ぐうの音も出ない張り詰めたものがありました。
公開は大丈夫でしょ、ホラー系ではもっとエグイものが平気で垂れ流されてますし。うちもいずれ前後作合わせて挙げてみたいと。
森と海 |  2006.07.22(土) 22:27 |  URL |  【コメント編集】

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