2006.05.26

『要塞警察』(ジョン・カーペンター)

要塞警察

今回は、“男ならこれを観ろ!”(まだまだ募集中です!)に投稿していただいた中から、稲本作蔵様、りざふぃ様ご推薦、『要塞警察』です。
御二方、ありがとうございます!

警官による非行少年射殺、引っ越中の警察分署に一日だけ配属された警部補、おばあちゃんに一緒に住むように説得しに行く父と娘、護送中の凶悪犯。
アイスクリームが、囚人の一人の病気が、今全てを結びつける…。

ジョン・カーペンター監督が、当ブログでもUPしているハワード・ホークス監督の傑作西部劇『リオ・ブラボー』にオマージュを捧げた作品ですが、面白さで本家に負けていません。

ただ時間を潰すだけだったはずの警部補。
それが、護送中の凶悪犯を一時的に収容するはめに。

それでもまだ、これは何の問題もない事態。
しかし、この警察分署に一人の男が逃げ込んだことから、事態は一変する。

まず一言。 暗い、とにかく暗い。話がではなくて、画面がです。
時間的にも夜、しかも電気が壊れたため真っ暗。

さらに、電話も不通になったため、まさに陸の孤島。
この“閉塞感”が素晴らしく、周囲を包囲する姿なきストリートギャングたち。

様子をうかがいに外に出た警官をあっさり殺し、いよいよ襲撃を開始。
しかも、彼らの武器はサイレンサー銃なので、近隣の住民にはわからない!

警部補と婦人警官だけではとても手に負えないため、やむなく囚人にも銃を渡し一緒に戦うことに。
ここで、リッキー・ネルソンがジョン・ウェインにライフルを投げ渡したあの有名なシーンが、ちゃんと再現されてます。

要塞警察

ストリートギャングたちの不気味さも抜群で、人を殺すことはもちろん、自分が死ぬこともまったく恐れていないため、殺しても殺しても次から次へと溢れ出てきます、まるでゾンビ。

彼らの“個”を排除して、“姿なき襲撃者”にしたところが、この映画の最大の勝因でしょうね。

あと、最近の映画ではやたらめったら銃を撃ちまくりますが、弾に限りがあるのもいい。
いったん落ち着いた時点で、残りの弾は全員合わせてもわずか8発。

でも、8人よりはるかに多くの敵がまだこれから襲ってくるわけです、この感覚。

さらに、ジョン・カーペンター監督自身の手による、音楽の素晴らしさも触れないわけにはいきません。
テーマ音楽のように繰り返し流れる音楽のかっこよさはもちろん、その他も、静寂と緊迫の見事な対比。

徐々に警官と囚人の間に生まれる友情、男顔負け(でも可愛い!)の婦人警官と囚人との会話、閉塞空間の中での心のやりとりも見所十分。

要塞警察

ただ、実は、警察分署が取り囲まれていざ銃撃戦が始まる後半よりも、アクションがほとんどない前半の方が抜群に面白い。

ちょっとした運命の掛け違いがあれば、一生出会わなかったであろう人たちが、ほんのささいなことの重なり合いで一つに結びつけられていく。
この部分の脚本の巧さは舌を巻くほど。

要塞警察

そして、一切の感傷を排除した、暴力の突発性。
●●の射殺シーンは鳥肌もの。

最近ちょくちょく70年代のアクション映画を観るようにやりましたが、軽くないけど重すぎない、劇中に漂う空気がたまりません。
この映画も、何よりその“空気”が素晴らしく、91分という長さもちょうどいい。

スターが誰も出ていなくても、目に見えた低予算でも、脚本と演出と音楽だけで(しかも全部一人で担当)ここまで面白いものが作れるという見本のような作品。

傑作。



Apple Musicでサントラを聴く♪


[原題]Assault on Precinct 13
1976/アメリカ/90分
[監督・脚本・音楽]ジョン・カーペンター
[出演]オースティン・ストーカー/ダーウィン・ジョストン/ローリー・ジマー

→予告編 →他の映画の感想も読む

【関連記事】
『リオ・ブラボー』(ハワード・ホークス)
“男ならこれを聴け!”BEST10

 

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*Comment

■>rivarisaia様

リメイクの方を観ていないので断言はできませんが、いつでもリメイクがオリジナルを超えることはないですからね。
ぜひご覧になって下さい!
micchii |  2006.09.19(火) 13:05 |  URL |  【コメント編集】

■うわあ!やっぱり観たい

姿なき襲撃者!サイレンサー銃!そして弾に限りが!
これは絶対観ようと、心に誓いました。
リメイクよりやっぱりよさそうですね。
rivarisaia |  2006.09.15(金) 19:42 |  URL |  【コメント編集】

■>tonbori様

コメントありがとうございます。
リメイクの方は観ていませんが、だいたいはロクなことがないリメイクが多い中、これはそんなにはひどくないみたいですね。
『リオ・ブラボー』は、前半はむちゃくちゃ面白いですが、後半敵がしょぼすぎるので、トータルでみたらこっちのが好きかもしれません。
音楽、まだ飽きるほどは聴いてないので助かってます(笑)
micchii |  2006.05.30(火) 11:39 |  URL |  【コメント編集】

■要塞警察

懐かしいなあ。
最近モーフィアスが出てリメイクしたのがあるらしいけどもこれもなかなか面白い。
よく似た作品で停電になって街が寸断されてマンハントが始まってしまう映画があったけど(確か外国のTVムービー)それも含めて西部劇の流れをうまい具合に取り入れた作品というのはよく解る話ですよねえ。
音楽については確かにつぼにはまるとカーペンターいいけどサントラは結構聴いていると飽きちゃうのが難点(苦笑)
tonbori |  2006.05.30(火) 00:24 |  URL |  【コメント編集】

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