2006.04.07

『サブウェイ・パニック』(ジョセフ・サージェント)

サブウェイ・パニック

ニューヨークの地下鉄が、4人の男たちにハイジャックされた。
1時間以内に現金100万ドルを要求した彼らは、1分でも遅れれば、1分につき人質を一人殺すと脅迫。
ハイジャック犯と警察の、タイムリミット1時間の死闘の火蓋が、今切って落とされる…。

これ以上は、内容については何も書かない方がいいでしょう。

犯人同士が色で呼び合うのは、『レザボア・ドッグス』の元ネタとして有名。

警察側で犯人との交渉に当たるのが、ウォルター・マッソー。
一見して切れ者ではありませんが、実は判断はかなり的確。
秒単位を争う犯人との交渉役を一手に引き受け、虚々実々のやりとりを繰り広げます。

サブウェイ・パニック ウォルター・マッソー

ハイジャック犯のリーダー“ブルー”には、当ブログでは『スティング』に続いて登場のロバート・ショウ。
他の3人は主に人質の見張り役なので、ウォルター・マッソーとのやりとりは彼が一人で担当。

サブウェイ・パニック ロバート・ショウ

“ブルー”が一番信頼を置く“グリーン”にはマーティン・バルサム。彼の○○○○がこの映画の大きなポイント。

さらに、気の短い“グレー”に扮したヘクター・エリゾンド、彼が漂わせる危うさも素晴らしい。

4人の中では、“ブラウン”ことアール・ヒンドマンはちょっと存在感が薄いですね。

あるシーンでウォルター・マッソーが見せつける“顔力”は、『殺人の追憶』のラストのソン・ガンホと双璧でしょう。

素晴らしいのは演出、脚本、役者だけではありません。

オープニングから一気に引き込み、劇中も緊迫感をさらに増幅させる(しかしやり過ぎてはいずバランスが絶妙)デヴィッド・シャイアのスコア。

ニューヨークの街の空気を見事に切り取った、『フレンチ・コネクション』『エクソシスト』などで知られる名手オーウェン・ロイズマンのカメラ。

それにしても、全編に漂う緊迫感といったら、尋常ではありません。
“息が詰まる”などという言葉ではとても足りません。
見終わった後には、必ず心拍数が上がっていることでしょう。

さらに、この極上のサスペンスを締めくくるに相応しい、思わずニヤリとなるラストのオチ。

何から何まで、すべてが一級品。
まだご覧になっていない方は、騙されたと思って観てみて下さい。

大傑作。



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[原題]The Taking of Pelham One Two Three
1974/アメリカ/104分
[監督]ジョセフ・サージェント
[撮影]オーウェン・ロイズマン
[音楽]デヴィッド・シャイア
[出演]ウォルター・マッソー/ロバート・ショウ/マーティン・バルサム/ヘクター・エリゾンド/アール・ヒンドマン

→予告編 →他の映画の感想も読む

【関連記事】
『サブウェイ・パニック』のポスター集
『サブウェイ・パニック』、トニー・スコットでリメイク!

 

TB(2) CM(17) EDIT

*Comment

■>よしぼうさん

またまたレス遅れました、すいません。

Walter Garber、いいですね~。そういうさりげないリスペクトは大好きです。
IMDbは現在6.9/10で、傑作!とまではいかないまでも、楽しませてくれそうではありますね。
あまり期待せずに待ちたいと思います。映画館にもうポスター貼られてましたよ。
micchii |  2009.07.21(火) 12:59 |  URL |  【コメント編集】

■ささやかな?!リスペクト

「サブウェイ123」では、
デンゼル・ワシントンの役名が、ザカリー・ガーバーから
オリジナルのウォルター・マッソーに敬意を表して、
”ウォルター”・ガーバーに変更になったそうです。
ちょっと違うだろ、と言いたくなりますが、
リスペクトには違いないし、
監督、スタッフのオリジナルへのこだわりが見える、
ちょっとイイエピソードです。
これだけこだわりがあれば、まあ大丈夫でしょう?!
IMDbなど海外サイトの評判も、まあまあですし。
よしぼう |  2009.07.14(火) 23:58 |  URL |  【コメント編集】

■>よしぼうさん

確かに、911を経験し、『ユナイテッド93』を不謹慎にも“面白い”と思ってしまった今、今までのようなのではリアリティはないですよね。

ですが、あくまでリアリティであって、リアルではないので、やはり“映画”を求めているんだと思います。
リアルなら、ヘタな映画観るより『映像の世紀』なんかの方が遥かに素晴らしいですから。

確かに今『サブウェイ・パニック』にあった空気感を求めるのは間違っているのかもしれませんが、どうしてもそこに惹かれてしまう自分がいます。
もちろん旧作に媚びる必要はありませんが、『スズメバチ』の時にも書きましたように、オリジナルへの敬意と、“真髄”を外さない、そこさえ押さえてくれたらと思います。
micchii |  2009.07.14(火) 14:02 |  URL |  【コメント編集】

■リメイクの変遷

「サブウェイパニック」以前に地下鉄ジャックを扱った映画に、「ある戦慄」があります。
私も一度、英語版を字幕なしで観たきりですが、
乗客ひとりずつの人生をグランドホテル形式で描き、
どこにでもいるチンピラが乗客にからんでいくもので、ものすごいリアリティのあるものでした。

70年代になって「サブウェイパニック」は、このリアリティがありません。乗客は確かに人質として重要ですが、どこか置いてきぼりになっています。
それに対して魅力的に描かれるのは、この事件を起こす犯人たちです。
変装ではあるものの、まるでビートルズのジャケットのようなイカす格好で事件を起こし、主犯のロバート・ショウは極めて紳士的、さらにマーティン・バルサムに至っては”あれ”のおかげで、ほのかなユーモアさえ感じられます。
そして、このイカす犯人と対するのは、どこにでもいる、さえないオッさんでした。

しかし、21世紀の現代では、70年代風にイカす犯人を主役に事件を描いても、もはやリアリティはないでしょう。
911という史上最悪の飛行機ジャックを経験した現在、
最もリアリティをもつのは、市民を巻き込んでのテロの恐怖ではないでしょうか。
だから予告編を観ると、トニー・スコットは、
恐ろしげな犯人たちが機関銃を放ち、乗客を震えさせながら乗り込む様子をリアリティたっぷりに描いているのでしょう。
きっと私たち70年代好きが”面白い”と思うシーンはゴッソリ捨てられているでしょうが、
変に旧作に媚びず、テロの恐怖をリアリティたっぷりに描くといい映画になるだろうと思います。
(実際に観てみると間違っているかもしれませんが)
よしぼう |  2009.07.03(金) 18:24 |  URL |  【コメント編集】

■>よしぼうさん

日本人としては微妙な心境ですが、東京の地下鉄の重役さんたちは確かに可笑しかったですね。
極論すればある意味ウォルター・マッソーのあの表情が全てな映画でもあるので、リメイクは厳しいと思うんですけどね~。

トニー・スコット×デンゼル・ワシントンという『クリムゾン・タイド』コンビなので、そこらへんのリメイクよりは期待できそうですが、予告編を観た限りでは、ずいぶんと派手だなぁと。
地味なのがこの映画の素晴らしさだと思うんですが・・・。

『3時10分、決断のとき』もそうですが、リメイクだから、そのままでもいいと思うんですが、何で変えるんでしょうね。
“激突”はほんとに謎ですね。
派手な激突なんかあろうものなら、それこそ“普通のアクション映画”になってしまうと思うんですが・・・。

誕生日のお祝いありがとうございます!
こちらこそ、今後とも宜しくお願い致します。
micchii |  2009.07.02(木) 12:45 |  URL |  【コメント編集】

■訂正します

なにか勘違いしていたみたいなので、少し訂正します。
「サブウェイ・パニック」のリメイク作の邦題は、
「サブウェイ123 激突」です。

私が間違って書いた題名よりは活劇らしくてマシな気がしますが、それでもまだヒットには遠いです。
”パニック”をなるべく使わない努力はうかがえますが、旧作の題名がいかにすばらしかったかがうかが、うかがえます。
それに、やはり”謎”は”激突”です。
派手な追突シーンでもあるのか、何と何がぶつかり合うのか。
以上、訂正でした。

他の人のカキコで知りましたが、
お誕生日おめでとうございます。
今後もどうかよろしくお願いします。
よしぼう |  2009.07.02(木) 00:29 |  URL |  【コメント編集】

■リメイクにも期待

最近、DVDを購入し、観てみました。

少し70年代の作品なのでお話が古い気がしましたが、
どなられてばかりの市長や、東京の地下鉄の重役さんたちのミスマッチぶりには少し笑えますね。
ロバート・ショウとウオルター・マッソウの対決にはドキドキしますし、マーティン・バルサムもいいですね。
特に印象に残ったのは、
ロバート・ショウの”あの死に方”と、
ウオルター・マッソウの”あの顔の演技”ですね。

ここのところ、「気まぐれ日記」では”リメイク談義”がさかんですが、この作品のリメイクも9月に公開ですね。
トニー・スコット監督にデンゼル・ワシントンのコンビなので、まあ期待していいのでしょうが、
どのようにリメイクしたのか楽しみです。
予告篇を観るかぎり、
ちょっと原作とは印象が違って、
犯人は変装せず素顔のまま、デンゼルはヒゲ面メイクでやや三枚目、
身代金を持って走り回るデンゼルの姿が見れます。
それに、原作オマージュとしてか、タクシーがひっくり返ったりするシーンもありますね。
最後は今風にATSあたりを細工するのか、もっと別のラストが待っているのか、ちょっと楽しみです。

不安材料としてはタイトルがたびたび変更され、ようやく
「ペラム123/激突」になりました。
あまりヒットしそうな題名じゃないですね。
「サブウェイ・パニック」と旧作と同じにした方がまだマシな気がするのは私だけでしょうか。
それに、「激突」って何がぶつかり合うんでしょうか?
よしぼう |  2009.06.29(月) 21:39 |  URL |  【コメント編集】

■>B級りん様

ロバート・ショウ最高ですよね!
『スティング』でもポール・ニューマンとロバート・レッドフォード相手に一歩も引けをとってなかったですし、凄い存在感だと思います。

>ざらついた感じというか、ドライなタッチの映像が雰囲気出しててワクワクします。

おっしゃる通りですね。
言葉にするのは難しいですが、劇中に流れる空気が素晴らしいと思います。

東京の地下鉄の重役の皆さんは帰り際にやってくれましたね(笑)

70年代マッソー映画、今後も『マシンガン・パニック』『突破口!』とUPしていきたいと思います。
micchii |  2006.09.19(火) 13:24 |  URL |  【コメント編集】

■ロバート・ショウ

最高ですね!ファンになりました。この作品の、ざらついた感じというか、ドライなタッチの映像が雰囲気出しててワクワクします。ニューヨークが舞台の映画好きです。 
東京の地下鉄の重役のみなさんや、補佐役に怒られてばかりのNY市長などなど犯罪映画ですが楽しい個所もありますよね。
70年代映画、粋な作品ばっかりですね!!
B級りん |  2006.09.16(土) 14:35 |  URL |  【コメント編集】

■>たお様

こちらにもお返事ありがとうございます。
メリハリ、仰る通りですよね。最近はとにかくただ派手なだけの1本調子だけですからね・・・。
micchii |  2006.07.27(木) 13:21 |  URL |  【コメント編集】

犯人側と警察側の演出テンポもガラリと変えてメリハリをつけているところも唸ってしまう名作です^^
たお |  2006.07.26(水) 15:40 |  URL |  【コメント編集】

■>lomo様

コメントありがとうございます。
『交渉人 真下正義』は観てませんが、関連でこの映画の名前が出てましたね。そういえば、ジョニー・トー監督の『暗戦 デッドエンド』も下敷きにしてるとか・・・。

マーティン・バルサムのくしゃみの使い方はほんとに見事でしたよね。
劇中やけに強調するなぁと思って観ていたら、まさかあんなふうに使われるとは!!

ブルー、グリーン、グレー、ブラウンの中に入ると、ペパーミントはちょっと浮きますね(笑
micchii |  2006.04.20(木) 13:57 |  URL |  【コメント編集】

■左利きには気をつけろ・・・。

こんにちはレス遅くなってしまいました(すいません)。
この作品ですが『交渉人 真下正義』関連という事で、
『ジャガーノート』『オデッサファイル』等と同じ時期に観たのですが、
この作品が一番強烈でした・・・。今の時期にピッタリの作品ですね(笑)。
『左利きの人』『肉料理に白ワインを頼む人』『花粉症』には気をつけないといけませんね(笑)。
4人が使う【S&W-M76(カールグスタフm/45)】がカッコイイですね。
因みに原作では【グリスガン(M3A1)】だった様です。
因みに私は「ペパーミント」と呼ばれています(笑)。
lomo |  2006.04.19(水) 16:16 |  URL |  【コメント編集】

■>tonbori様

こちらこそお久しぶりです。
ウォルター・マッソーが一見して切れ者じゃないところがいいですよね。
ロバート・ショウは安心して観てられます。
70年代の映画はまだまだ初心者なんですが、少しずつ顔と名前が一致するようになりました。
最近のハリウッド映画に派手さでは負けても、面白さでは断然この年代ですね。
micchii |  2006.04.17(月) 12:52 |  URL |  【コメント編集】

■いやーいいですよね!

おひさしです。
おいらもDVD持ってますコレ。
ウォルター・マッソーのオトボケながらも切れ者っぷりが渋いですよね!
ハイジャッカーのリーダー役ロバート・ショーも巧いし脚本の妙もあって退屈せずに最後までテンションを保ちながら観れる1本だと思います。
tonbori |  2006.04.14(金) 23:45 |  URL |  【コメント編集】

■>bibi様

コメントありがとうございます。
公開時にご覧になってるんですね。劇場で観るとさらに緊迫感が凄いでしょうね。
1974年というと、自分はまだ生まれていないんですが、ここ数年で70年代の映画も少しずつ観るようになりました。
感想をUPしているのだけでも、『ロンゲスト・ヤード』『北国の帝王』『ガルシアの首』などなど、どれもタイトル聞いただけで血が騒ぎますよね(笑)
micchii |  2006.04.10(月) 13:18 |  URL |  【コメント編集】

■な、なつかしい....

サブウェイ・パニックは公開時に観ました。細かいところは忘れていますが、ロバート・ショウは印象深かったです。また観てみたくなりました。
bibi |  2006.04.10(月) 10:10 |  URL |  【コメント編集】

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