2006.03.28

『OVER SUMMER』(ウィルソン・イップ)

OVER SUMMER

今回は、前回の『SPL/狼よ静かに死ね』からウィルソン・イップ監督つながりで、『OVER SUMMER』です。

マイク(フランシス・ン)とブライアン(ルイス・クー)の二人の刑事が、強盗犯のアジトの向かいのアパートの一室を借りて張り込みを行う、こう書くと硬派な刑事もののようですが、実際は全然違います。
二人が張り込み中に出会う様々な人々、彼らとの心の触れ合いを描いた、見事な人間ドラマ。

まずは、部屋を借りることになった一人暮らしのおばあちゃん。ちょっとボケが入っていて、二人のことを息子と勘違い。でも、二人はそれに付き合います。
次第に、本物の親子のようになっていく3人。マイクがおばあちゃんに添い寝するシーンなんかいいなぁ。

ブライアンは仕事よりも女の子を追いかけるのに忙しく、ひょんなことから知り合った女子高生が、3人がいるアパートに居着くことになります。

さらに、マイクがたまたま出会ったクリーニング屋の女性店員。彼女はお腹に赤ちゃんがいて、さらにシングルマザーになる決意をしています。
彼女とマイクのやりとりが、一番好きですね~。
「俺が面倒をみるよ」というマイクの言葉を聞いた彼女が、嬉し涙を見られたくなくてぶら下がっているクリーニングの商品の間に隠れるシーンなんか、恋愛映画も真っ青、素晴らしい!

あと、犯人たちのうちの二人が、あることをきっかけに5人がいる部屋にやってきて、一緒に食事をするはめになるシーンがあるんですが、このシーンの緊迫感は凄まじい。
女性陣3人は彼らの正体を知らないため気楽に食べてますが、マイクとブライアンは知っているため、犯人の一人が上着の中に手を入れた時の、一触即発の張り詰めた空気。『ザ・ミッション/非情の掟』の“最後の晩餐”よりも、緊迫感では上じゃないですかね。

OVER SUMMER フランシス・ン

アパートの住人たちとのやりとりもあって、マイクいつの間にか管理組合の理事長になってるし(笑)

ラストに向けての展開は、伏せておいた方がいいでしょう。
特典映像に入っている劇場用予告編は完全にネタばれしてるので(これひどくないですか?)、先に観ないように注意された方がいいと思います。

さて、ウィルソン・イップ監督、『ラヴァーズ&ドラゴン』でも、“ダウンロード”と“ブロードバンド”にはぶっ飛んだものの、セシとフランシス・ンの心の通い合いを描く演出は見事でしたし、『SPL/狼よ静かに死ね』でもリウ・カイチーで泣かせるなど、“心”が描ける監督です。
本作も、刑事ものというのは外見だけで、登場人物の心と心のやりとり、それが染み入ります。

フランシス・ンは金馬奨主演男優賞受賞、おばあちゃんに扮したロー・ランも金像奨主演女優賞受賞、共に納得の名演。
中でも、フランシス・ンが時に見せるふとした笑みは、男でも惚れます。



[原題]爆裂刑警
1999/香港/92分
[監督]ウィルソン・イップ
[出演]フランシス・ン/ルイス・クー/ロー・ラン

→予告編 →他の映画の感想も読む

【関連記事】
『SPL/狼よ静かに死ね』(ウィルソン・イップ)
『ザ・ミッション/非情の掟』(ジョニー・トー)

 

TB(5) CM(14) EDIT

*Comment

■>やっほーさん

はい、あそこで“素敵な恋をしよう!”です(笑)
かなり強引ですが、あのシーンが一番好きなので・・・。

ジョニー・トー監督もそうですが、緊迫した中でふっと緩むその緩み加減が絶妙ですよね。

『ブレイキング・ニュース』は、食べているところよりは作っているところがよかったですね。
『鎗火』の“最後の晩餐”といい、『無間道』の署で弁当をかきこむサムといい、香港映画は“食”のシーンがいいですよね~。
micchii |  2007.02.23(金) 12:39 |  URL |  【コメント編集】

■なるほど!

あの、クリーニングやさんのシーンですね。
あそこ、いいですよね。
ほろりとしました。

で、素敵な恋をしよう、なんですね!

あの、へやのこっちとあっちでのやり取りのシーンとか、お金が転がって行くところとか、ふっとゆるんだ可笑しさがたまらないです。

緊迫のお食事。
「ブレイキングニュース」でも、食べてましたね。こちらは犯人と人質でした。
やっほー |  2007.02.22(木) 23:12 |  URL |  【コメント編集】

■>sabunori様

お久しぶりです、TB&コメントありがとうございます。
管理組合の理事長になるくだり、ほんの些細なことなんですが、ああいうユーモアの入れ方は巧いと思いました。
食卓のシーン、みんながみんな張りつめているのもそれはそれで緊迫感があっていいですが、何も知らずにただ美味しそうに食べてるメンバーがいるところが、逆に妙な緊迫感を生んでましたよね。凄く印象的なシーンでした。
micchii |  2006.08.03(木) 14:38 |  URL |  【コメント編集】

■こんにちは!

TBさせていただきました。
前から気になっていたこの作品、やっと観ました。
そうそう、いつの間にか管理組合の組長になっているマイクには笑いました。
あのみんなで囲む食卓のシーン・・・妙なおかしみがあって好きなシーンでした。
sabunori |  2006.08.02(水) 17:51 |  URL |  【コメント編集】

■>hi-chan

こちらこそありがとうございます。
フランシス・ン、刑事をやってても、何か裏があるんじゃないか!?とか、どうしてもそう観てしまいますが、今回は普通にいい人でしたね(笑)

「龍虎門」、自分も凄く期待してます。
一時は値段が高すぎて日本の配給会社は手が出ないと言われてましたが、無事買い付けたようですね。
micchii |  2006.07.18(火) 12:36 |  URL |  【コメント編集】

■TB&コメントどうもでした。

ちょっとボケたおばあちゃんのキャラがよかったですね~
フランシス・ンとルイス・クーのコンビも新鮮でした。フランシス・ンが刑事役をやっているのを初めて見ましたし(笑)。

ウィルソン・イップ監督、新作の「龍虎門」に凄く期待してます。ニコとショーンとドニー・イェンですから。日本でも早く公開して欲しいです。
hi-chan |  2006.07.14(金) 14:05 |  URL |  【コメント編集】

■>Ayu様

こちらこそコメントありがとうございます。
ウィルソン・イップ監督、どんな題材で撮っても、切なさがいいですよね~、『ラヴァーズ&ドラゴン』でさえも(笑)
次回作も期待大ですね♪

劇場用予告編、時々こういうことがありますよね。
DVDで観る際には気をつけたいものです。
micchii |  2006.04.04(火) 12:46 |  URL |  【コメント編集】

■micchiさま、こんにちは。

TBありがとうございます。
ウィルソン・イップは切ない感情を描くのが上手いですよね~。
私もこの作品はお気に入りです。
でも劇場用予告編はネタバレだったとは・・・
そういうのはショックですね。
Ayu |  2006.04.03(月) 16:12 |  URL |  【コメント編集】

■>SOFFY様

こちらこそTB&コメントありがとうございます。
食卓のシーン良かったですよね~。それまでがほのぼのとしていただけに、一気に高まる緊張感が凄かったです。
マイクの恋愛も、ヘタな恋愛映画よりも素晴らしかったですよね。『ザ・ミッション』とはまた一味違うジャンユーが素敵でした。
こちらこそこれからもよろしくお願いします!
micchii |  2006.04.03(月) 13:54 |  URL |  【コメント編集】

■TBありがとうございました

こんにちは!TBありがとうございました♪

私も食卓の緊張感と、マイクの恋愛が大好きです。
これからもよろしくお願いします!!
SOFFY |  2006.04.01(土) 12:53 |  URL |  【コメント編集】

■>zoecchi様

こちらこそTB&コメントありがとうございます。

ウィルソン・イップ監督、最新作『SPL/狼よ静に死ね』でも、バイオレンスアクションながら予想以上にドラマ部分が良かったですし、これからもおおいに期待できそうですね。

この作品がジャンユーにはまるきっかけになるというのもよくわかります。
これを観た後で『ザ・ミッション』を観たら、誰でも落ちますね(笑)

ルイス・クー、初めは顔がいいだけだと思ってたんですが、ジョニー・トー監督の『柔道龍虎房』でも見事に主役を務めてましたし、だんだん味が出てきましたね~。
micchii |  2006.04.01(土) 12:45 |  URL |  【コメント編集】

■遅くなりましたが

TB&コメントありがとうございました。

私もこの映画は二人の刑事の捜査が中心なのかなって思っていたら意外にもドラマがあってとても良かったです。
途中、ホロリとさせてくれるシーンもあったりして。
ネタバレしてる劇場予告はダメですよねぇ。私も一度それで失敗してるんでDVDで映画を見るときは先に予告を見ないようにしてます。

この作品は私にジャンユーにはまるきっかけをくれた作品でした。
そして「ザ・ミッション」を観て完全に落ちると。
でもルイス・クーも素敵ですよね。
zoecchi |  2006.04.01(土) 00:48 |  URL |  【コメント編集】

■>lomo様

コメントありがとうございます。
「allcinemaONLINE」、やや不正確ですが、日本語のデータベースではやっぱり重宝しています。

『黒社会』は、邦題も決まってないですし(公開自体決まってませんが)、英題もカンヌで上映された際のタイトルも『Election』なので仕方ないかと思いますが、でも『黒社会』の方がぴったりきますよね。

セット・カムイェン、以前記事にもしたんですが(http://micchii.blog4.fc2.com/blog-entry-340.html)、『トランサー 霊幻警察』は未見ですが、“ダーク・トリロジー”も『SPL/狼よ静かに死ね』も、ほんとにダークですよね~(笑)
micchii |  2006.03.31(金) 14:27 |  URL |  【コメント編集】

■ウィルソン・イップ

こんばんは、【フランシス・ン】が出演しているという事なので、
レンタル店で探したのですがありませんでした(涙)。
私の場合「allcinemaONLINE」をよく使うのですが、
香港映画の情報が遅いというか不十分ですね。
『黒社会』が未だ『エレクション(原題)』のままです。

『ヒーロー・ネバー・ダイ』と『OVER SUMMER』もDVD発売の情報が載ってませんし・・・。
【ウィルソン・イップ】繋がりで、今日『スパイチーム(2000)』を観てみます。

脚本の【セット・カムイェン】は『ロンゲストナイト』『ヒーロー・ネバー・ダイ』『トランサー 霊幻警察』『SPL/狼よ静かに死ね』
の脚本でもある様です・・・。
lomo |  2006.03.30(木) 23:04 |  URL |  【コメント編集】

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