2006.03.01

『ガルシアの首』(サム・ペキンパー)

ガルシアの首

今回は、サム・ペキンパー第3弾『ガルシアの首』です。

メキシコの広大な荒野、広がる空、照りつける太陽、舞い上がる砂埃、まとわりつく汗、流れ出す血、そして、蝿のたかる生首。
こんな薄汚い世界が、どうしてこうも詩的なまでに美しいのか。

全ての始まりはこの一言だった。
「ガルシアの首を取ってこい」

メキシコの大地主の娘を妊娠させたガルシアという男の首に、100万ドルの懸賞金がかかる。

金の匂いをかぎつけた場末のバーのしがないピアノ弾きベニー(ウォーレン・オーツ)は、愛する女エリータ(イセラ・ベガ)と落ち着く金のため、後戻りのできない道へとその歩を進めていく。

よりにもよってガルシアはエリータの昔の男。
愛する女のかつての男の墓を暴き首を持ってくる、こんなみじめな話はない。

しかし、人生に破れたベニーにとって、これは最初で最後の大勝負、ただ墓から首を持ってくるだけだ、それだけで、今までに見たこともない大金が手に入る。

嫌がるエリータを連れ、ベニーはガルシアの墓を目指す。
ギターと、拳銃と、テキーラを携えて…。

道行く二人のやりとりがいい。
まるで新婚旅行にでも来たかのように、歌い、笑い、飲み、そして拙い言葉で愛を告げる。

「何より大切なのは、あなたと一緒にいることよ」

もう若くはない二人が、ようやく手にしかけた幸せのかけら。
大金が手に入ったら、どこか知らない土地へ行って、平穏な毎日を送ろう。

木にもたれかかって座る二人。
エリータの肩を抱き、「結婚しよう」
誰よりもこの言葉が似合わないウォーレン・オーツだからこそ、その重みが違う。

ガルシアの首 ウォーレン・オーツ イセラ・ベガ

そして、ようやくたどり着いたガルシアの墓。
しかし、男が夢見た幸せは儚くも崩れさる。
ガルシアの首は奪われ、愛しのエリータも帰らぬ人に。

ついに失うものが何一つなくなった男の、怒りと意地の闘いが今幕を開ける…。

ガルシアの首 ウォーレン・オーツ

前半のラブストーリーともいえるのどかな展開から一転、ベニーはその身にみるみるうちに狂気をまとっていく。
蝿のたかるガルシアの首に語りかけるベニー。
愛するエリータはもういない。今は話し相手は首だけ。

首を奪った相手を葬り、依頼主も始末すると、“黒幕”の館にたった一人で乗り込んでいくベニー、その手にはガルシアの首。

ペキンパー監督十八番のスローモーションは冴えに冴え、荒野の道で、車を急停止させ砂煙が舞う時のスローモーションの、その美しいこと!

股間の毛じらみをテキーラで消毒する男ベニー、ようやくつかみかけた幸せを奪われた男の、引くに引けない魂の咆哮。

ウォーレン・オーツ一世一代の名演技による、サム・ペキンパー監督入魂の大傑作。

「俺が『ガルシアの首』を作った。良かろうが悪かろうが、気に入ろうが気に入るまいが、まさに自分のやりたいようにやった。あれは俺の映画だ」
~サム・ペキンパー~



Apple Musicでサントラを聴く♪


[原題]Bring Me the Head of Alfredo Garcia
1974/アメリカ/112分
[監督]サム・ペキンパー
[出演]ウォーレン・オーツ/イセラ・ベガ/ロバート・ウェバー

→予告編 →他の映画の感想も読む

【関連記事】
『ガルシアの首』のポスター集

 

TB(0) CM(6) EDIT

*Comment

■>lomo様

お返事ありがとうございます。
ベニチオでベニー、なるほど(笑)
ソダーバーグの『Guerrilla』は自分も楽しみにしています♪
最近はほんとにリメイクか続編ばかりなので、挙げられているような作品群はほんとに楽しみですね!
micchii |  2006.03.04(土) 12:07 |  URL |  【コメント編集】

■che・・・。

こんばんは、「コマンダー」ですが「ガバメント」のスライドを若干短くしたモデルの事なんです。

『ガル首』の主人公の名前が【ベニー】なんで【ベニチオ・デルトロ】にはピッタリの作品です(笑)。
ただ「リメイク物」でオリジナルより良かった作品は数限りないですね・・・。
特に【ペキンパー】作品の「リメイク物」は酷いのが多いですね・・・。

【デルトロ】は『誘拐犯』で「ガバメント」の扱い方が良かったので期待しています。
今年~来年は色々面白そうなアクションが多いですね。
S・ハンターの『極大射程』の映画化とか、
T・クランシーの『容赦なく』『レインボーシックス』とか・・・、
【デルトロ】は【ゾダバーグ】監督の『cha(Guerrilla)』で、
「チェ・ゲバラ役」という事で、こちらも楽しみです。
他に【ブラット・ピット】主演で【ジェシー・ジェームズ】の自伝物もあるらしいですし・・・。
lomo |  2006.03.03(金) 18:11 |  URL |  【コメント編集】

■>kiyotayoki様

こちらこそコメントありがとうございます。
「蠅の似合う男グランプリ」、他に思い当たらないほど、蝿といったらウォーレン・オーツですよね(笑)
まだ彼の作品は少ししか観たことがありませんが、未見の中では、『デリンジャー』を凄く楽しみにしています。
micchii |  2006.03.03(金) 13:59 |  URL |  【コメント編集】

■>lomo様

初めまして、コメントありがとうございます。

銃器の話はまったくついていけないんですが、『ガルシアの首』と同列で並ぶ『刑事ニコ』『ダブルボーダー』は、ぜひぜひ観てみたいです!
個人的には、最近のハリウッドのリメイク乱発には嫌気がさしているんですが、なんと『ガルシアの首』もですか!
ウォーレン・オーツ以外はありえないと思うんですけどねぇ・・・。
そういえば、『ワイルドバンチ』のリメイクも決定してますよね。
こちらこそ宜しくお願い致します。
micchii |  2006.03.03(金) 13:52 |  URL |  【コメント編集】

■蠅の似合う男

トラックバックありがとうございます。
「蠅の似合う男グランプリ」をやったらウォーレン・オーツがグランプリを受賞します、きっと♪
ウォーレン・オーツ好きにはたまらない一編ですよね(^_^)v。
kiyotayoki |  2006.03.02(木) 11:27 |  URL |  【コメント編集】

■コマンダー・トリロジー

はじめまして、『ガル首』良いですね(涙)。
少し前に『グラインド・イン・ブルー』と共にDVD発売!という記事を「映画秘宝」で見て嬉しくなりました・・・。

私はアクション映画が好きなのですが登場する「銃器」も好きなんです。
個人的には『ガル首』『刑事ニコ』『ダブルボーダー』の3作品を、
勝手に「コマンダー・トリロジー」(正確には、コンバット・コマンダー三部作)としています(笑)・・・。

『ガル首』ですが【デルトロ】主演でリメイクも画策されている様で楽しみです。
ガルシア役(首役)は【アンディ・ガルシア】だったりして(笑)・・・。

これから宜しくお願い致します・・・。
lomo |  2006.03.02(木) 01:23 |  URL |  【コメント編集】

コメントを投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除するのに必要
SECRET  管理者だけにコメントを表示  (非公開コメント投稿可能)
 

▲PageTop

*Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://micchii.blog4.fc2.com/tb.php/344-855db700

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP |