2005.11.24

『北国の帝王』(ロバート・アルドリッチ)

北国の帝王

今回は、“男ならこれを観ろ!”(まだまだ募集中です!)へ投稿していただいた中から、laughingcow様ご推薦、『北国の帝王』です。
laughingcow様ありがとうございます!

→laughingcow様の記事はこちら

監督は、『ロンゲスト・ヤード』『ヴェラクルス』『特攻大作戦』に続いてロバート・アルドリッチ。

大不況真っ直中の1933年アメリカ、列車にタダ乗りし各地を転々とする失業者たちは“ホーボー”と呼ばれていたが、そんなホーボーを絶対に許さないのがオレゴン州19号貨物列車の鬼車掌シャック。
その列車に乗ることは死をも意味していた。
今、ホーボーたちの間で“北国の帝王”と呼ばれる男が、ついにシャックに挑戦状を叩きつける…。

いやあ、もうたまりませんねこれは。

何が凄いって、列車にタダ乗りしようとする男と、それを許すまいとする鬼車掌が、列車の上で壮絶な死闘を繰り広げるという、要はそれだけの話。
よくこれで2時間持つなというくらい、話としてはほんとにそれだけの話。

ただ、タダ乗りする方(Aナンバーワン)がリー・マーヴィンで、鬼車掌シャックがアーネスト・ボーグナインとくれば、事情は違ってきます。
ボクシングヘビー級タイトルマッチも顔負けの、これ以上ない濃い対決。熱い、熱すぎる…。
男では字が違います、まさに漢と漢の闘い。

北国の帝王 アーネスト・ボーグナイン リー・マーヴィン

大不況という時代背景もちゃんとあって、シャックの方も明日は我が身というわけで、簡単にタダ乗りを許すわけにはいかないのはわかります。

でも、もはやそれを通り越して、ホーボー退治が生き甲斐となっているシャック、タダ乗りするホーボーを見つけては、ニヤリと笑みを浮かべ、トンカチや鎖で殺してしまいます。

北国の帝王 アーネスト・ボーグナイン 鎖

トンカチで殴ったり鎖で首を絞めるにとどまらず、オリジナルな武器も考案。
車両の下に隠れるホーボー用に、ロープの先に鉄の棒をつけて地面に垂らし、走る列車の勢いでそれが隠れるホーボーに当たるという武器、これがなかなかに強力(笑)
痛がるホーボーの声を聞いた時の、シャックの笑顔も怖すぎ…。

北国の帝王 アーネスト・ボーグナイン ロープ 鉄の棒

片やAナンバーワン、こちらはタダ乗りの名人で、ホーボーたちの間でもシャックを破れるとしたら彼しかいないと思われているような男。

貨車内で火事を起こしたり、線路に脂を塗って列車を止めたり、ポイントを切り替えてあらぬ方向に列車を行かせたりと、こちらも“プロの技”を駆使してシャックに挑戦。

誰からも見える駅の給水塔に挑戦状を書くというのもいいですねぇ。
こっそりとタダ乗りするのではなく、挑戦状を叩きつけてタダ乗り、それを見たシャックも、かかってこんかいとばかりに不敵な笑みを浮かべます。

周りでは二人の対決が賭けの対象になってたりもするわけで、いざタダ乗りする時も、他のホーボーたちが周りで見ていて、シャックにヤジを飛ばしていたりします。

一度はAナンバーワンを列車から振り落としたシャック、再び挑戦してきたAナンバーワンを見つけた時の表情がいい。
懲りずにまたやってきたなではなく、おぬしなかなかやるな。

もう一人の主要人物が、キース・キャラダイン扮するシガレット。
口だけが達者な生意気な若者で、Aナンバーワンにいつもくっついていて、Aナンバーワンを利用して自分が“北国の帝王”になろうとしているような男。

Aナンバーワンとシャックは、命のやりとりをしながらもどこか通じるところがあって、列車から突き落とそうすればできるところをあえてひっぱり起こして正々堂々戦いを続けるようなところもあるわけですが、シガレットにはそんな“心”がありません。

死闘の末シャックを列車から突き落としたAナンバーワンに、俺たちで組めばできないことは何もないぜみたいに、相変わらず口だけが達者なシガレット。

そんなシガレットを「まだまだ青いよ」と軽く川に投げ捨てると、遠ざかる列車の上からAナンバーワンが叫びます。
「お前は向こうっ気だけで心がねえ!」
くうぅ~!!痺れます…。

北国の帝王 リー・マーヴィン

ふと考えてみれば列車にタダで乗るか乗せないかだけの話ながら、リー・マーヴィンとアーネスト・ボーグナインという最強のキャストを得て、どんな西部劇の決闘も真っ青な、漢と漢の意地とプライドだけの死闘を堪能できます。

観ているだけで体温が2度は上がりそうな、必見の大傑作。



[原題]Emperor of the North
1973/アメリカ/122分
[監督]ロバート・アルドリッチ
[出演]リー・マーヴィン/アーネスト・ボーグナイン/キース・キャラダイン

→予告編 →他の映画の感想も読む

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TB(2) CM(13) EDIT

*Comment

■>テコさん

95歳、大往生だと思いますが、去年『RED』で元気な姿を見かけたばかりでしたからね、思わず朝から絶句しました・・・。
自分も本数的には10本くらいしか観ていないと思いますが、1本1本があまりに強烈ですし、どれも何度も観ている映画ですからね。
これからも、映画の中ならいつでも逢えるので、繰り返し繰り返し観て行こうと思います。
micchii |  2012.07.09(月) 23:39 |  URL |  【コメント編集】

■間違いました・・・

「RED」って書いてるつもりが・・・すみません。
テコ |  2012.07.09(月) 11:22 |  URL |  【コメント編集】

■追悼

やっぱり、ここに書くべきなのかな。ってコメント入れました。
お年からいって、本当は大往生といっても、いいのかもしれませんが・・・「ナイト&デイ」でご健在だったので・・胸が詰まる思いです(pc開きたくなかった)多分本数的には、10本ぐらいしか観てないと思うのですが、インパクト、存在感が、ハンパじゃないですねー画面にパワーが漲る、本当に忘れたくない俳優の一人です。これからも、映画で永遠に何度も逢えるように・・・・・
テコ |  2012.07.09(月) 11:13 |  URL |  【コメント編集】

■>B級りん様

ご覧になりましたか!
唯一覚えてらっしゃったのが、リー・マーヴィンが洗礼を受ける場面とは!確かにインパクトありますけどね(笑)
皆が合唱していた歌が『ワイルドバンチ』で使われていたのは気づきませんでした・・・。
リー・マーヴィンは、『プロフェッショナル』とスケジュールが重なって、泣く泣く断ったみたいですね。本人もやりたかったでしょうが、リー・マーヴィンのパイクも観てみたかったですね。
『プロフェッショナル』は未見ですが、こちらもマーヴィンの他に、バート・ランカスター、ロバート・ライアン、ウディ・ストロード、ジャック・パランス、ラルフ・ベラミー、クラウディア・カルディナーレと凄まじいキャストなので、観るのが楽しみです!
micchii |  2006.10.02(月) 13:24 |  URL |  【コメント編集】

■やっと見ました!

micchiiさん、再見しました!!
4、5年ぶりに見たのですが、ほとんど忘れてました~ こんなに熱い映画を覚えてなかったなんてお恥ずかしい。。 
唯一覚えてたのは、リー・マーヴィンが川で洗礼を受ける場面ですね(笑)その時、みなが合唱してた歌は『ワイルドバンチ』の序盤で歌われてたのと同じですよね~ で、思い出したのですがマーヴィンはパイク役のオファーを断ってたらしいですね。役を受けてたらどんな作品になってたでしょう。『ワイルドバンチ』は大傑作ですが、それはそれで見てみたい気もします。

それにしても、恐ろしいギョロ目ボーグナインと激シブおやじマーヴィンの死闘、劇場で見たかったです~~
B級りん |  2006.09.30(土) 00:11 |  URL |  【コメント編集】

■>Mou Sato様

初めまして、コメントありがとうございます。
6月6日というと、もうすぐですね。きっと国内版を出してくれると信じて、今回は手を出さないことにしたいと思います。
ぜひぜひしっかりと脅迫しておいて下さいませ(笑)
ついでに、『愛のそよ風』も宜しくお願い致します。
micchii |  2006.06.03(土) 09:26 |  URL |  【コメント編集】

■6/6に全米DVD

『北国の帝王』は6月6日に全米でDVD発売されます。渋谷のDisc&Galleryをはじめ輸入DVDを扱っている店では大人気ですね。私め、映画ライターをしているので、日本のフォックスビデオのSクンと脅迫しておきました(笑)。出さないと、角材で殴るぞって。冗談はさておき、こうした映画史に残る名作は速攻でDVD化してほしいものです。
Mou Sato |  2006.06.02(金) 21:21 |  URL |  【コメント編集】

■>tobecontinued様

初めまして、コメントありがとうございます。
そして、大変貴重な情報ありがとうございます!
アメリカではもう出ていると思っていましたが、向こうでもまだ出てなかったんですね。
国内版出たらすぐに廃盤になりそうなので、即行で買わないといけないですね。
micchii |  2006.05.31(水) 13:25 |  URL |  【コメント編集】

■北国の帝王のDVDが

北国の帝王のDVDが六月にアメリカで発売されるそうですっ
ということは、きっと日本語版もすぐに・・・
tobecontinued |  2006.05.30(火) 21:38 |  URL |  【コメント編集】

■>loth様

TB&コメントありがとうございます。
面構え、いい言葉ですね~。でも、まさにそれがぴったりですね。
そちらのブログでのレスですが、ホーボーはほんとにいて列車にはただ乗りしてたでしょうが、ボーグナインのような車掌はさすがにいないでしょうね(笑)
micchii |  2005.12.24(土) 13:26 |  URL |  【コメント編集】

■2℃

とは上手い表現ですね^^
男なら引き下がるわけにはいかない世界だったんでしょうね。
ボーグナインの表情には狂気が感じられましたが、Aナンバーワンは面魂、面構えがよかったですね。肝が据わってるっていうんでしょうか。
loth |  2005.12.24(土) 11:42 |  URL |  【コメント編集】

■>laughingcow様

TB&コメントありがとうございます。

この映画、レンタル店を何軒巡ってもなく、ヤフオクでようやくビデオが手に入りました。値段は張りましたが・・・。
もっとみんなが簡単に観れるように、早くDVD化してほしいですよね。

“観ているだけで体温が2度は上がりそうな”のニュアンスがちゃんと伝わったみたいで、凄く嬉しいです!!

>何でそこまで。。

そこがいいんですよね。なぜそんなことに命を懸けるんだという(笑)
micchii |  2005.11.25(金) 12:34 |  URL |  【コメント編集】

■おぉ,熱いです!

micchiiさん,ご無沙汰してます(汗
TBありがとうございました!

micchiiさんのレビュー,映画に負けないくらい熱いですね!
アーネスト・ボーグナインが殴られる度に観ているこちらの血潮が熱くなる,
と仰ってた方がいらっしゃいますが,まさしく“観ているだけで体温が2度は
上がりそうな”感が拝読していてビシビシ伝わってきます(笑

何でそこまで。。と呆れるようなことに拘るのは男(漢)のサガなんでしょうか。
どうなんでしょう?micchiiさんはどうです?ふふ。

いや~micchiiさんのレビューを堪能して観直したくなりましたよぅ~~~!
(特にアーネスト・ボーグナインの笑顔)
laughingcow |  2005.11.24(木) 18:35 |  URL |  【コメント編集】

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北国の帝王

1973年 アメリカ 122分監督 ロバート・アルドリッチ出演 リー・マービン アーネスト・ボーグナイン キース・キャラダイン大恐慌時代の鉄道を舞台に繰り広げられる男同士の闘いを描いている作品。闘いといっても、鉄道をただ乗りして移動を繰り返すホーボーと、殺して
2005/12/24(土) 11:31:57 | I LOVE CINEMA +

北国の帝王 (1973)

{{{:【スタッフ】 監督………………ロバート・アルドリッチ 製作…………………………スタン・ヒュー 製作総指揮………………ケネス・ハイマン 脚本………………クリストファー・ノップ 撮影…………………ジョセフ・バイロック【キャスト】 リー・マーヴィン…………………
2005/11/24(木) 18:36:49 | 「lavie式」

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