2005.10.25

『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』(アキ・カウリスマキ)

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ

愛すべき映画たち、区切りの150本目。
100本目が『真夜中の虹』だったので、150本目は同じくカウリスマキから。
久々の第9弾です。

最果てのツンドラ地帯から、史上最悪のロックバンドがやってきた!

というわけで、今までの作品とは異質なこの作品。
ただ、『過去のない男』がカンヌでグランプリを穫るまでは、知名度では一番だったかもしれません。

この映画、ぐだぐだと書く前に、写真を観ていただいた方が早いでしょう。

レニングラード・カウボーイズ 髪型

この髪型!
氣志團なんか目じゃありません(笑)

オープニング、「ツンドラ 無人の荒野」と字幕が出て、ほんとに何もない荒野。

カメラがボロい小屋に寄ると、中から音楽が。
そして「ポーリュシュカ・ポーレ」を演奏するレニングラード・カウボーイズの姿。
爆笑(笑)

演奏するメンバーを眺める二人の男。
一人はバンドのマネージャーウラジミール。扮するのは我らがマッティ・ペロンパー。
そしてもう一人はプロモーターらしき男。

顔色をうかがうウラジミール。
男が一言。「サイテーだね、売れないよ。アメリカへ行けば何とかなるだろう」
このいかにもアメリカをなめた言い方、さすがカウリスマキ。

このウラジミールというマネージャー、とんでもない極悪マネージャーで、メンバーは彼の言いなり。

「アメリカで演奏できるのはアメリカ人のみ。だからアメリカ人になれ」という命令の下、機内ではみんな英語のお勉強。

アメリカに到着。紹介状をもらった男に演奏を聞かせると、「君らの音楽は古臭い。今流行ってるのはロックン・ロールだ」と、紹介してくれた仕事はメキシコにいるいとこの結婚式での演奏だけ。

こうして、メキシコを目指し各地を転々としながらの旅が始まった!

移動するには車が必要ということで、有り金はたいて中古のキャデラックを購入。
この時の中古車のディーラーがジム・ジャームッシュ。

各地のバーで飛び込みで演奏させてもらうものの、観客の反応は冷ややか。

ジャームッシュの『ミステリー・トレイン』の舞台にもなったメンフィスも登場します。

自分だけステーキを食べお酒も飲むウラジミール。
マッティ・ペロンパーはいつもの酒豪ぶりをここでも発揮していて、車のある場所に隠してある缶ビールを飲み続けては、空き缶を後部座席に放ります。
車を止めてドアを開けると、車外に溢れ出すビールの空き缶。その数数百本!(笑)

お腹が空いたとすがるメンバーに、スーパーに立ち寄ったウラジミール、買ったのはなんと玉葱。
一人に一つずつ与えます。
生の玉葱をむさぼるように食べるメンバーたち。

相変わらず観客受けしないのは顔色のせいだとウラジミール、じゃもっと食い物をとメンバー。

原因は食べ物ではない、太陽と新鮮な空気だ、ビーチ・ボーイズを目指せ。
というわけで、砂浜に並んで寝そべって日光浴(笑)

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ 日光浴

車が壊れ、歩くかヒッチハイクだというウラジミールに、ついにメンバーの怒りが爆発。
クーデター発生。
後部座席に縛り付けられるウラジミール。

しかし、すぐに独裁復活。
この映画、シーンの前に見出しの字幕が出るんですが、ウラジミールが独裁を復活するシーンの見出しが「民主主義復活」。

普段は台詞やナレーションよりは“目で見せる”カウリスマキですが、皮肉の効いたこういう言葉のセンスも抜群。

立ち寄ったガソリンスタンドの店員がなぜか同じ髪型で、なんといとこ。
ボーカルとして加わった彼は、なんと「Born to be wild」を熱唱。
初めて観客に受けます。

そんなこんなでメキシコに到着。
現地の人がスペイン語で歌を歌い、バックで演奏するレニングラード・カウボーイズ。

幸せいっぱいの光景に笑みを浮かべ、一人立ち去るウラジミール。
『ラヴィ・ド・ボエーム』でもそうでしたが、立ち去る背中が絵になる男マッティ・ペロンパー。
ここでもじ~んとさせてくれます。

その後、レニングラード・カウボーイズはなんとメキシコのヒットチャートでトップ10入りを果たしたとさ…。

『マッチ工場の少女』では天安門事件の映像を流したカウリスマキ。
この映画も、一番ハチャメチャなようで実は一番政治的な映画かもしれません。

それでもやっぱり、難しいことを考えて観る映画ではありません、あの髪型なんですから(笑)

ロックからカントリーまでそれなりにこなすレニングラード・カウボーイズですが、一番良かったのはオープニングの「ポーリュシュカ・ポーレ」。
プロモーターには最低と言われていましたが、かなりいい感じです。

ギターやドラムにまじってバイオリンやトランペットやアコーディオンもあり、どこかクストリッツァのノー・スモーキング・オーケストラに近いものがあります。

それにしても何よりも凄いのは、このレニングラード・カウボーイズが実在のバンドだということ。
フィンランド恐るべし!



[原題]Leningrad Cowboys Go America
1989/フィンランド・スウェーデン/78分
[監督]アキ・カウリスマキ
[撮影]ティモ・サルミネン
[出演]マッティ・ペロンパー/レニングラード・カウボーイズ/ジム・ジャームッシュ

→予告編 →他の映画の感想も読む

【関連記事】
『真夜中の虹』(アキ・カウリスマキ)
『過去のない男』(アキ・カウリスマキ)
『ラヴィ・ド・ボエーム』(アキ・カウリスマキ)
『マッチ工場の少女』(アキ・カウリスマキ)

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*Comment

>おかぽん様
最近はUPする映画が香港映画に偏る中、ピンポイントでUPしたカウリスマキに、早速のコメントありがとうございます!凄く嬉しいです。
ロードムービーと聞くと、ヴェンダースではなくこの映画が頭に浮かぶ自分は、少し問題かもしれません(笑)
でも、ほんとにたまらなく好きです。続編はカウリスマキ映画唯一の失敗作と言われているだけあり、耐えられないくらいつまらなかったですが・・・。
おっしゃるように、バンド名からしてすでにおちょくってますよね。
自分はこのバンドのCDは買ってないですが、『過去のない男』のサントラは即買いでした。
micchii |  2005.10.28(金) 12:38 |  URL |  【コメント編集】

■うーん

いいすねー。ずいぶん前に見たこの映画のシーンが、ビビッドに思い出されました!
ちなみに自分は、映画を見て思わず、このバンドのCD買っちゃいましたよー。

「レニングラード」で「カウボーイ」。バンド名自体がすでに、両者をおちょくっております。
おかぽん |  2005.10.27(木) 16:38 |  URL |  【コメント編集】

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『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』(☆☆☆☆☆)

今日は、ぼくが一番好きなフィンランド映画をご紹介します。 『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ/モーゼに会う』 この作品の監督アキ・カウリスマキは、ぼくの好きな3大映画監督の1人でもあります。 元気がないときって、元気満々のドタバタコメディと
2006/02/19(日) 23:14:08 | ど風呂グ

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