2005.09.17

『シェーン』(ジョージ・スティーヴンス)

シェーン

主題歌「遥かなる山の呼び声」をバックに映し出されるワイオミングの雄大な自然、そこに現れた一人の流れ者、開拓者一家のところにとどまることになった彼は、次第に打ち解けていくが…。

この映画が他の西部劇と決定的に違うのは、主役の視点ではなく、主役を慕う子供の視点から描かれていること。

そのため、西部劇お決まりの決闘や馬での疾走よりも、家庭劇と言ってしまってもいいほど、普段の親子とシェーンのやりとりが丁寧に描かれています。

そして、なんといってもジョーイの可愛いこと!
可愛いといっても、『キッド』『コーリャ 愛のプラハ』とはちょっと違って、見た目が可愛いというより、存在そのものが抜群に可愛い。

優しい両親に愛されながらも、何かが足りなかったジョーイ、そこへ訪れた流れ者シェーンとの出会い。
故淀川長治氏の名言を借りれば、「孤独と孤独の握手」。

シェーン アラン・ラッド

ジョーイだけでなく、母親もシェーンに惹かれていきます。
でも、母親はジョーイに、「彼をあまり好きにならないで」
「どうして?」と問い返すジョーイに、「いつか出ていく人よ、つらくなるわ」
いいですね~こういうやりとり。

夫婦の結婚記念日に、みんながお祝いをしてくれ、ダンスに興じる人々。
妻とシェーンが踊るのを、なんとも言えない表情で見つめる夫。

罠だとわかっていながら、殺されることがわかっていながら、悪徳牧場業者のところに乗り込んで行こうとする夫。

必死で止める妻に、「万一 俺が死んでも君は大丈夫だ。俺より幸せにしてくれる人間がいる」、泣けます…。

こんな家族のやりとりだけでなく、西部劇だけあってちゃんと決闘も用意されていて、前半の殴り合いの迫力も凄いですが(覗いているジョーイの表情がいい!)、なんといってもジャック・パランスとの決闘。

存在感ありすぎのジャック・パランス、いかに早撃ちかを散々観客にアピールしておいて、いざシェーンとの勝負の時。

シェーン ジャック・パランス

対峙する二人。
不敵な笑みを浮かべるパランスが一言、「抜けよ」。
くぅ~、痺れます…。このシーンの緊張感は、セルジオ・レオーネにはかなわないものの、なかなかのものです。

シェーンとジョーイのこのやりとりもたまりません。
「行かなきゃ」
「なぜなの?」
「それが俺の生き方だ」

そして、あまりにも有名な「Shane, come back!」

最後に、『ペイルライダー』について書いた時に、「『シェーン』のリメイクなどと言われていて、確かにそのままのシーンもありますが、やはり同じイーストウッドの『荒野のストレンジャー』のリメイクでしょう。」と書きましたが、それはこの映画を全編ちゃんと観る前の話で、観た今では、細部に渡るまで二つの映画は酷似しています。

ラストシーンはもちろん、流れ者の主人公、置いてくれた家族の地域でのリーダー的地位、そして悪徳地主との対立、気の強い男が挑発に乗って殺されるくだりなど、完全に一緒です。

セルジオ・レオーネとドン・シーゲルを師と仰ぐイーストウッドですが、これを観ると、『シェーン』への思い入れは並々ならぬものがありそうです。



Apple Musicでサントラを聴く♪


[原題]Shane
1953/アメリカ/118分
[監督]ジョージ・スティーヴンス
[音楽]ヴィクター・ヤング
[出演]アラン・ラッド/ヴァン・ヘフリン/ジーン・アーサー/ブランドン・デ・ワイルド/ジャック・パランス/ベン・ジョンソン

→予告編 →他の映画の感想も読む

【関連記事】
『ペイルライダー』(クリント・イーストウッド)

 

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*Comment

■>まきさん

投稿ありがとうございます!形式上は募集は終わってますが、また何かありましたらどんどん投稿して下さいね。
『コーラス』、早速リストに追加させていただきました。
確か他のカテゴリーにも投稿があった映画なので、ますます楽しみになりました♪

『シェーン』ですが、死んでるという説もありますよね~。
個人的には生きてほしいですが・・・。

でも、こうやって解釈が分かれるだけでも、この映画がいかにみんなに愛されてるかがわかりますね。
micchii |  2007.04.16(月) 13:41 |  URL |  【コメント編集】

お久しぶりです!
もう募集終ってしまいましたが、今日観た作品を加えさせてください。「コーラス」です。
子役かわいい~~~☆

「シェーン」小説だったかで引用があって、登場人物の一人が最後に振り返らなかったのは死んでるからだって、解説をしていました。
面白いなあ・・・と。
川本三郎さんの著書でも少し紹介があって面白かったです。
まき |  2007.04.14(土) 23:29 |  URL |  【コメント編集】

■>taco様

初めまして、コメントありがとうございます。

おっしゃるように、“これから”が泣かせますね。
一説には、撃たれた傷は致命傷であの後すぐに死ぬという話もあるみたいですが、死なないまでも、運命は決まってますからね。

ようやく心落ち着く場所を見つけたのに、それでもやっぱり行かなきゃならない。
ジョーイとの
「行かなきゃ」
「なぜなの?」
「それが俺の生き方だ」
のやりとりがたまりませんね。
micchii |  2006.05.31(水) 13:39 |  URL |  【コメント編集】

■はじめまして

初めてシェーンを見たのは小学校か中学の1年くらいの時。もちろんテレビの名画劇場でした。兄は映画館(たびん名画座)で観たそうです。
子供のころは、そんなに感慨深く観ていませんでした。
最近テレビで観た時は泣けました。
配役の妙や演出など作品の素晴らしさにはもちろんですが、僕が泣けるのは
「シェーンのこれから」かもしれない。
左腕は間違いなく撃たれた弾傷で不自由。
過去は過去としても、今度は追われる身分。
帰るところはない。
運命は決まっている。
DVD買いました。
またなくと思います。
taco |  2006.05.31(水) 00:01 |  URL |  【コメント編集】

>巻き助様
わざわざありがとうございます。
「子役がかわいい!」の募集が終わりましたら、記事に全部加えさせていただきます。
たくさんの投稿本当にありがとうございました。
micchii |  2005.09.20(火) 14:01 |  URL |  【コメント編集】

丁寧なお返事ありがとうございます。(~より)の部分は教えていただいた部分ですので、その表記がないものはワタシの投稿ということで、お手数ですが、よろしくお願いします。これからもいろんな特集期待しています。では。
巻き助 |  2005.09.18(日) 15:11 |  URL |  【コメント編集】

>Carolita様
コメントありがとうございます。
「シェーン、カムバァ~~~ックゥ!」、笑わせていただきました(笑)
~が3つあるところがポイントですね(笑) 
「いつか出ていく人よ、つらくなるわ」 はほんとに良かったですよね。こういう台詞の素晴らしさが、いわゆるな西部劇との違いですよね。
テンプレート、そう言っていただいて嬉しいです^^

>巻き助様
初めまして、コメントありがとうございます。
そして、いつもブログを読んでいただいているみたいで、ありがとうございます!
今までコメントを書き込めなかったとのこと、最近テンプレートを変えたばかりなので、今まで書き込めなかったのはテンプレートの設定に問題があったのかもしれません、もしそうでしたら本当に申し訳ありません・・・。
リンクしていただいた記事3つとも拝見しました。うちでも感想を書いている映画が何本もあって、嬉しくなりました。
ちょうど「子役がかわいい!」の募集を始めたところですので、そちらへの投稿ともさせていただきますが、下のほうの~さんとあるのは、他の方からの投稿でしょうか?『シャイニング』までを巻き助さんからの投稿とさせていただければよろしいでしょうか?
お手数ですが、教えていただけたらと思います。
micchii |  2005.09.18(日) 13:01 |  URL |  【コメント編集】

■はじめまして。

はじめまして。映画に対する熱くてストレートな愛を感じていつも楽しみに拝見していました、巻き助と申します(こんな名ですが、女子です)。今までMacからコメントを書こうとすると文字化けしてしまい断念していたのですが、今日は化けずに書くことが出来嬉しい限りです(笑)。子役(特に男の子)が可愛い映画がワタシも大好きで(ワタシなりに集めてみました。→http://d.hatena.ne.jp/makisuke/20050601#p3)したが、シェーンはちょっと盲点でした。子役が可愛い映画以外は、食卓が気になる映画(http://d.hatena.ne.jp/makisuke/20041128#p2)と愛すべきダメ人間が出てくる映画(http://d.hatena.ne.jp/makisuke/20041218#p1)などに目がないです。以後オミシリオキヲ。では、また。
巻き助 |  2005.09.18(日) 09:50 |  URL |  【コメント編集】

■おおっ!

micchii さん、こんばんは! 
ちょっとご無沙汰でしたが・・・なっ、なんと~!
『シェーン』ではありませんかぁっ! 泣けました。良かったです。胸が熱くなりました。
それではちょっと失礼して・・・叫ばせて頂いてよろしいでしょうか?
せーの、「シェーン、カムバァ~~~ックゥ!」 (あースッキリ(笑))

>「いつか出ていく人よ、つらくなるわ」
そうそう、女性としては痛いほど胸がキュンとするセリフでした。
昔の西部劇には、男のロマンが詰まってましたね。
実に切ないのに、ラストは、あのテーマで気分が晴れ晴れとしたのを今でも覚えています。
久しぶりにシェーンに再会できました。micchiiさん、ありがとう!
(新テンプレート、秋らしくてイイですねっ。挽きたてのコーヒーの香りがしそう!)
Carolita |  2005.09.18(日) 01:23 |  URL |  【コメント編集】

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両面いっぱいに大草原が広がり、手前に馬上の男が現れ谷間を下りていく…。みごとな俯瞰撮影で幕を開ける「シェーン」は、巨匠スティーブンスが作り上げた本格的西部劇。典型的な西部劇のパターンを踏襲しながら、すべての対象を自然主義ともいえる徹底したリアリズム手法で.
2005/09/20(火) 00:57:19 | いったんたん~素晴らしき哉、我が人生

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