2004.07.29

『楽園の瑕』(ウォン・カーウァイ)

楽園の瑕

瑕はきずであって暇ではありません、念のため。
とにかく凄い!その一言です。はっきり言ってよくわかりません。
しかし、この映画に関しては細かいことは大した問題ではありません。

まずは俳優陣。
レスリー・チャン、レオン・カーファイ、トニー・レオン、ジャッキー・チュン、ブリジット・リン、チャーリー・ヤン、カリーナ・ラウ、マギー・チャン。

香港映画を少しでもご覧になったことがある方なら、これだけの名前が並ぶことがいかにとんでもないことかおわかりいただけるかと思います。
二度と揃うことはあり得ない夢の競演です。夢の競演という言葉でも足りません。

続いて、撮影は『欲望の翼』以来ウォン・カーウァイ作品の撮影監督を担当しているクリストファー・ドイル。
本人も、「この映画が自分の仕事の中で最も気に入っている」と語っているように、まさにベストの仕事をしています。

『恋する惑星』などでは都会を舞台におしゃれでかっこいい映像を披露している彼ですが、本作では大自然を舞台に、美しく繊細な、あまりの美しさに酔いさえする、ほんとに素晴らしい映像です。

楽園の瑕 クリストファー・ドイル

そして、この映画には、印象的な素敵な言葉がたくさん出てきます。

その代表が、過去を忘れる酒、その名も「酔生夢死」。酔いに生き夢に死す。
素敵な名前のお酒です。もしほんとにあったら一度飲んでみたいものです。

映画の中で飲んだ人物は、すべての過去を忘れることはできたが、一番忘れたい愛の思い出だけは消すことができなかった…。

また、ほんとうに愛する人と一緒にならなかった一人の女。彼女はこう語ります。
「勝ったと思っていたけど、ある日、鏡を見た時、そこに敗者がいた」

楽園の瑕 マギー・チャン

そうして彼女は息を引き取ります。愛する人にあるお酒を渡してくれと、頼んだ後に。
そのお酒こそ前述の「酔生夢死」。彼女は忘れてほしかったのです。
しかし、すべてを忘れた男も、彼女との愛の思い出だけは消し去ることはできなかった…。

極めつけはこの言葉。
「何かを忘れようとすればするほど、心に残るものだ。ある人曰く、何かを捨てなければならない時は、心に刻みつけよと」
決して忘れることのできない、いつまでも心に残る印象的な言葉です。

『恋する惑星』『天使の涙』などももちろん大好きです。『恋する惑星』については当ブログでも紹介しました。
しかし、ウォン・カーウァイ作品の中でもっとも強烈に印象に残っているのは間違いなく本作品。

ストーリーや理屈は大した問題ではありません。現在と過去の境界線さえも曖昧で時間の感覚さえ失われてきます。加えて揺れる映像は空間の感覚さえも奪っていく…。
このように、時間や空間を超え、ひたすらその世界に浸る、そんな映画です。



[原題]東邪西毒
1994/香港/100分
[監督・脚本]ウォン・カーウァイ
[撮影]クリストファー・ドイル
[出演]レスリー・チャン/レオン・カーファイ/トニー・レオン/マギー・チャン/ジャッキー・チュン/ブリジット・リン/チャーリー・ヤン/カリーナ・ラウ

→予告編 →他の映画の感想も読む

【関連記事】
ウォン・カーウァイ監督『楽園の瑕』がスクリーンで観れるかも!?
『恋する惑星』(ウォン・カーウァイ)

 

TB(8) CM(8) EDIT

*Comment

>hi-chan様
コメントありがとうございます。
ブックマークして頂いてありがとうございました。  
ランキングのクリックは自分もあまりしません(笑)
やっぱりどう考えても褒めすぎだと思いますが、「映画の中に流れる空気」という表現に大きく頷いていただけたということは、映画に対する接し方がきっと近いんでしょうね^^
『インファナル・アフェア』や『HERO』など、中にはそれなりに深く書いている感想もありますが、大半はかる~く書いていますので、あまり期待せずに楽しんでいただけたらと思います(笑)
micchii |  2005.07.08(金) 12:32 |  URL |  【コメント編集】

■当ブログにもコメントありがとうございました。

早速、ブックマークに入れさせて頂きました。こちらにもリンクに入れて頂き、ありがとうございます!

私、人の文章を誉めたりって、あまりしないんですよ(笑)。ほんとです。
ランキングに参加されているブログはたくさんありますが、映画への賛否に関わらず、記事に納得がいかなければ、決してボタンを押したりしません。(←性格悪いですね・笑)
私はずうずうしく、しかも長々とコメントさせて頂いておりますが、コメントされない方にも、私と同じようにmicchiiさんのレビューが素晴らしいと思っている方がいるはず・・・
これからも、楽しみにしております。
hi-chan |  2005.07.06(水) 14:05 |  URL |  【コメント編集】

>hi-chan様
TB&コメントありがとうございます。
紹介していただいたのは嬉しいですが、どう考えても褒めすぎです(笑)
その紹介文を見て期待して観に来てくれる方がいるかと思うと、これから怖くて感想書けません^^;

『楽園の瑕』、『恋する惑星』が万人受けするのに対し、賛否が激しく分かれる映画ですよね。

でも、自分はたまらなく好きです。
ただ、「本当の所は、なぜこんなに惹かれるのか、よく分かりません・・・」というのは非情によくわかります。
自分でもなぜ好きかと聞かれると返事に困ります。

映画を観る時にストーリーを重視したり、いろいろと“解釈”しようとする人はきっとこの映画はダメなんでしょうけど、自分はストーリーの優先順位は低いので(あえて一つ挙げると一番重視するのは映画の中に流れる空気でしょうか。あと、故淀川長治氏の「映画を頭で見たらつまらないね。もっと感覚的に見てほしい」を座右の言にしています)、そういう自分にとってはこの映画はツボでした。

リンクの件、大歓迎です!!
こちらも早速登録させていただきました。
今後ともよろしくお願いします。
micchii |  2005.07.06(水) 12:38 |  URL |  【コメント編集】

■こんにちは。

当方のブログで、micchiiさんのレビューを紹介させて頂きました。
初めてこの映画を観た時、凄く良かったので、1回観たくらいで感想書きたくない!と思い、もう一度観てから、書きました(笑)
私は大好きな映画です。映像も綺麗だし、登場人物も魅力的。
でも本当の所は、なぜこんなに惹かれるのか、よく分かりません・・・
なんで好きなのかなぁ・・・と考えて、浸っているのも結構好きなので、別に詳しく分析しなくていいかな~なんて(笑)

ところで、当方のブログで、「愛すべき映画たち」をブックマークに入れさせて頂いていいでしょうか?お返事頂く前に入れちゃうかもですが(笑)
hi-chan |  2005.07.04(月) 15:48 |  URL |  【コメント編集】

>haru様
コメントありがとうございました。
『大英雄』まだ観てないんですよ・・・。
同じく超豪華メンバーですよね。
ぜひ観てみたいです。
『インファナル・アフェア 終極無間』TBさせていただきました。
感想たくさんですね!
こちらは内容には触れてないんですが、ほんとにいくらでも書きたいことがありますよね。
micchii |  2005.04.21(木) 01:19 |  URL |  【コメント編集】

初めまして、TBありがとうございました。
まさに夢の共演、豪華明星勢ぞろいですよね。
この映画の心を震わすエピソードに陶酔しながらも、
これを見るとなぜか「大英雄」もセットで見たくなってしまいます^^
haru |  2005.04.17(日) 08:08 |  URL |  【コメント編集】

>おかぽん様
コメントありがとうございます!
ウォン・カーウァイが凄いのか、クリストファー・ドイルが凄いのか、映像美はほんとに凄いですよね。
『花様年華』、“スタイリッシュ”とはあのことですよね。
あのトニー・レオンを目指したいところです(笑)
『楽園の瑕』、賛否が激しく別れる映画ですので、絶対にお薦めとは言い切れませんが、内容はともかく映像美は保証できると思います。
micchii |  2005.04.02(土) 12:40 |  URL |  【コメント編集】

■ウオンカーウエィは

ほんと映像美ですね。
個人的には「花様年華」のスタイリッシュの極み、な映像には圧倒されてしまいましたね!
この映画は実は未見なんで、見てみたいと思います。
おかぽん |  2005.03.29(火) 23:59 |  URL |  【コメント編集】

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