2005.03.29

『ラスト・ショー』(ピーター・ボグダノヴィッチ)

ラスト・ショー

オープニング、朝鮮戦争が始まった頃のテキサスの田舎町。砂嵐舞う人気の無い町の往来。
台詞もナレーションもなくても、一発でこの映画の中に流れる空気に触れさせてくれます、見事の一言。

そんな町にあるオンボロ映画館でデートをする高校生たち。
ティモシー・ボトムズ、ジェフ・ブリッジス、そしてシビル・シェパード。

“何もない”町で、ただ過ぎていく日々。
“何もない”感が痛いほど伝わってくる白黒の映像がたまりません。

それでも、上の3人たちの世代よりももっと魅せてくれるのは、ベン・ジョンソン、エレン・バースティン、クロリス・リーチマンたちの世代。

中でも、ベン・ジョンソンが愛の思い出をサニーに語るシーンがこの映画の白眉でしょう。
若かりし日のジョン・フォード西部劇での“動”の素晴らしさを知っているだけに、余計に心に響く“静”のベン・ジョンソン。

ちょっと他に思い当たらないくらい、“渋い”とはまさにこれ。熱いものが込み上げます。

エレン・バースティンが別の機会にサニーに語るくだりもたまりません。
共に、死ぬまで消えない、生涯ただ一度の夢のような日々。

ストーリー部分はいろいろ伏せておくことにして、久しぶりに映画館を訪れたサニーとデュエーン。映画館は今日で閉館とのこと。

“ラスト・ショー”は、よりにもよって、これぞテキサスというハワード・ホークスの『赤い河』。

ラスト・ショー 赤い河

映画史上に残るキャトル・ドライブの出発シーン。「イャーハーッ!!」と雄たけびを上げるカウボーイたち、テキサスがまだ栄光に包まれていた時代。

あの映画を観たことがある人間にとっては、このシーンは涙なしでは観れません。

誰からも愛された映画館主が亡くなり、恋は実らず、友は戦争へと旅立って行く。
それでも続くサニーの日々。

ラストはまたもや砂嵐吹き荒ぶ町の往来。
涙が出るほど美しく、あまりにも切ない。

サムがサニーに語ったように、サニーにもいつか次の世代に語りかける日が来るのでしょうか…。



[原題]The Last Picture Show
1971/アメリカ/118分
[監督]ピーター・ボグダノヴィッチ
[出演]ティモシー・ボトムズ/ジェフ・ブリッジス/シビル・シェパード/ベン・ジョンソン/エレン・バースティン/クロリス・リーチマン

→予告編 →他の映画の感想も読む

【関連記事】
『ニュー・シネマ・パラダイス』(ジュゼッペ・トルナトーレ)
『カイロの紫のバラ』(ウディ・アレン)

 

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*Comment

>おかぽん様
TB&コメントありがとうございます。
西部劇が好きな理由・・・
改めて聞かれるとこれだ!っていう理由は浮かばないものですね。
ただ、西部劇って自分たちが生きている毎日からは一番遠いところにあると思うんですよ。
笑いや音楽や恋や、ひょっとしたら殺人事件に巻き込まれることだってあるかもしれませんが、荒野で牛を追い、一対一で対峙して決闘するなんてことはまずありえないですから(笑)
ですから、おっしゃるような“失われた”とはちょっと違うかもしれませんが、“非日常”の世界に連れていってくれるのが西部劇ではないかと。
現実を切り取るケン・ローチやマイク・リーの対極にある、“映画の中の世界”。もちろん100年前にはそれらは“現実”であったわけですが・・・。
でも、同じ西部劇でもジョン・フォードやハワード・ホークスの正調西部劇ももちろん好きですが、それよりはサム・ペキンパーの『ワイルドバンチ』やロバート・アルドリッチの『ヴェラクルス』やセルジオ・レオーネの『夕陽のガンマン』の方が好きですので、西部劇自体というよりも、西部劇の中にある“男ならこれを観ろ!”的要素に惹かれるものがあるんだと思います。
micchii |  2005.08.29(月) 12:17 |  URL |  【コメント編集】

■おー

あの映画はハワード・ホークスの映画だったんですね。実は、ハワード・ホークスの映画はほとんど観ていないような気がします。

気にはなっていたのですが、micchiiさんが西部劇を好んで見る、その理由は?

多分、失われてしまった「何か」を求めて、ということだとは思いますが・・・お暇なとき、ひとまとめにお話しいただければなぁ、と思っています!よろしく!
おかぽん |  2005.08.26(金) 01:27 |  URL |  【コメント編集】

>十瑠様
コメントありがとうございます!
公開当時は自分はまだ生まれてませんので、30年の時を越えて観るという行為、羨ましくて仕方ありません。
当時はティモシー・ボトムズたちの立場で観ていた方たちが、今度はベン・ジョンソンに思い入れが深くなるんでしょうね。
それにしても、ベン・ジョンソン渋すぎでした。
micchii |  2005.04.02(土) 12:43 |  URL |  【コメント編集】

■懐かしいですなあ。

ボグダノヴィッチはこの後の「ペーパー・ムーン」までは調子良かったんですけどねえ。
「ラスト・ショー」また観たくなりました。30年を越えて観るとどんな風に感じるのか・・・。
今度は、ベン・ジョンソンの立場で観てしまうのかなあ。
今も第一線で活躍している、ジェフ・ブリッジスの若き日が観れますね。
十瑠 |  2005.03.30(水) 06:54 |  URL |  【コメント編集】

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