2005.03.08

『七人の侍』と『アンダーグラウンド』

七人の侍 [Blu-ray] アンダーグラウンド Blu-ray

今日の夕刊に、四方田犬彦氏の『コソヴォで観る黒澤明』という大変興味深いコラムが載っていたので、それについて一言。

四方田氏は昨年一年間、文化庁の文化交流使としてイスラエルと旧ユーゴスラビアで日本映画の連続講義をしたそうです。

コソヴォやベオグラードで、もっとも高い関心が寄せられていたのは黒澤明だったとのこと。
「僕は彼女が好きだけど、彼女は黒澤が好き」という歌詞を持ったポップスがヒットしたというのにはウケました。

現地の人々と四方田氏とのやりとりにニンマリ。
現地の人々は、事態があまりに錯綜していて誰の証言を信じていいやら判断がつかないという意味で「『羅生門』的」という言葉を使い、『七人の侍』は「コソヴォではいくらでも実際に起こりえた話」だというのです。

現地の教授ともなるとさらに凄くて、「どうしてコソヴォに出向いてアルバニア人の暴力からセルビア人の農民を守った将軍が、ハーグの国際司法裁判所で戦犯として裁かれなければならないのだ。彼は『七人の侍』で志村喬が演じた勘兵衛と同じことをしただけではないか」

黒澤明の映画を観ているだけでなく、会話の中にこのように出てくるのです。
日本人同士でも、このような会話が通じない相手の方が多いのではないでしょうか。
今さらながら“世界の黒澤”の偉大さを実感し、同じ日本人として大変誇りに思いました。

彼らは、遥か遠く離れた東方の島国に、旧ユーゴスラビアが生んだ傑作『アンダーグラウンド』に打ちのめされた人々が少なからずいることを、果たして知っているでしょうか…。



【関連記事】
『アンダーグラウンド』(エミール・クストリッツァ)

 

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*Comment

>おかぽん様
コメントありがとうございました!
映画の感想にコメントをいただくのももちろん嬉しいんですが、日記にコメントをいただくのはさらに嬉しいです。
この話、ほんとに興味深いですよね。新聞で読んで、記事を書かずにはいられませんでした(笑)

黒澤明とクストリッツァ、おっしゃるように、大きなことを描いているようで実は目線は下にあるんですよね。

それにしてもクストリッツァ、その才能は本物ですよね。
唯一観ていない『ジプシーのとき』も楽しみです♪

クストリッツァ関連で2つトラックバックさせていただきました。
micchii |  2005.03.14(月) 22:50 |  URL |  【コメント編集】

■なるほど・・・

このお話は大変興味深いですね!

エンターテイメント作品としての高い評価ばかりが言われる黒澤作品の、真のテーマ性がコソボで評価される、というのは、なんだかうれしいお話です。

そして黒澤と、クリストリッツアの描いいたものが、実は共通したものである。というのは間違いないことのような気がしますね!

黒澤は「武士」を描いている作品も、ほんとは「農民」や「庶民」を描いているわけで、クストリッツアも、歴史の激動を、あくまで下世話な庶民のたくましさや、ひたむきさを通して描いてきたところ・・・

歴史に名を残す、優れた作家通しの交流ですね。

ちょっと遠いかもだけど、興味深い話なのでトラバさせてくださいね!

おかぽん |  2005.03.13(日) 23:37 |  URL |  【コメント編集】

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「パパは出張中」エミール・クストリッア

監督 : エミール・クストリッツァ 製作 : Forum Sarajevo 脚本 : アブドゥラフ・シドラン 撮影 : ヴィルコ・フィラチ 音楽 : ゾラン・シミャノヴィッチ 出演: モレノ・デバルトリ「アンダーグラウンド」で、ものすごい映画的イマジネーションで圧倒させてくれた
2005/03/13(日) 23:38:26 | ネオ・ビジョンかわら板

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