2010.01.10

『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』(ジョニー・トー)

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を

「復讐の相手すら覚えていないのに、何の意味があるんだ?」
「彼は覚えてないかもしれないが、俺はやる、さあ行くぞ」

シャンゼリゼ通りにある“兄弟”という名のレストランを夢見て、組織の掟よりも友との約束を選んだ男たちは、たった3人で敵うはずもない相手に戦いを挑む。

2010年第1弾はこれしかないでしょう、ジョニー・トー監督最新作『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』です。

まだDVDが出たばかりですし、未見の方も多いと思いますので、今回は簡潔に。

話的には目新しいことは何もありません、みんなが英語を喋っていてジョニー・アリディが主演ということ以外、いつものトーさん映画です。
特に、『エグザイル/絆』とは役者も設定も映像もかなり被っているので、新鮮味はありません。
でも、いいんだなぁこれが。

復讐の手伝いを頼んできた男の記憶はどんどん薄れ、復讐の相手はおろか、殺された家族のことすら覚えていない有様。
損得勘定でいけば、彼らが約束を守る必要なんかどこにもありません。

でも、力になると約束した、パリのレストランと大きな家を夢見させてくれた、共に命を懸けて戦った、美味しい料理とワインを振舞ってくれた、兄弟と呼んでくれた。
それだけだ。でも、それ以上何がいる?

子供たちと無邪気に戯れるジョニー・アリディ。
歩き出すアンソニー・ウォンの横で、微かに微笑むラム・カートン。
『ワイルドバンチ』なら「Let's go.」「Why not?」でしょうが、それすら必要ありません。言葉はいらない。

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を

ここまでは素晴らしかったんですが、この後がちょっと微妙。
アンソニー・ウォンと比べちゃうとジョニー・アリディがいまいち弱いというのもありますが、“説明”しすぎでしょうワイ・カーファイ。今回は脚本はワイ・カーファイの単独クレジット。
ジョニー・アリディとヤムヤムの“すれ違い”は素晴らしいですが、その後のジャケットのくだりが…。

先ほど、映像的に『エグザイル/絆』と被っているという話をしましたが、ちょっと新しい映像も。

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を ジョニー・アリディ

メルヴィルの名前を口に出していただけのことはあり、“メルヴィル・ブルー”が見れましたね。
序盤のハイライトの一つ、地下道での緊迫した一触即発の場面。

あと、“ただいま、男だらけの放課後”は今回は、“自転車撃ち”。

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を 自転車

『夕陽のガンマン』で帽子を撃ち続けて地面に落ちないように宙を舞わせるというのがありましたが、あれの自転車バージョン。

先ほども書きましたが、メインがジョニー・アリディになってからは、正直弱い。これがアラン・ドロンだったらというのは、言わぬが花でしょう。

ただ、アンソニー・ウォンたちが活躍する前半は文句なしに素晴らしい。

脇役にいつものメンバーが勢ぞろいなのも嬉しいですね。敵のヒットマンだったり、闇医者だったり、トーさん映画を見慣れている方には、ニヤリとする顔ぶれです。

なんかいまいち感想の歯切れが悪いのは、先に『エグザイル/絆』を観てしまっているのが大きいと思います。
あの映画を観ずにこれを観ていればもっと絶賛していると思うんですが、あれを観てしまっている今となっては、もっと凄いものを求めてしまうんですよね。
他の多くの映画よりは十分素晴らしいので、贅沢な話ではあるわけですが。

ただ、冒頭に書いた3人の殴りこみあたりまでは、今回も痺れまくりですね。

先日から邦題案の募集をしていますが(→こちらからどうぞ)、管理人としては『ヴェンジェンス/復仇』というのを候補に挙げさせていただきましたが、映画を観た上でもう一度挙げるなら、『ヴェンジェンス/約束の記憶』というのはいかがでしょうか?

確かに“復讐”がメインの映画ではありますが、“ヴェンジェンス”“復仇”と同じ意味を二つ重ねるよりも、大きなキーワードの一つ“記憶”はぜひ入れたいところ。
娘との約束、“兄弟”との約束、その記憶も次第に薄れていく。その先に男が見たものとは…。

そんなわけで、映画をご覧になった上での、さらなる邦題案の応募もぜひお願い致します。



[原題]復仇
2009/香港・フランス/108分
[監督]ジョニー・トー
[出演]ジョニー・アリディ/アンソニー・ウォン/ラム・カートン/ラム・シュー/シルヴィー・テステュー/サイモン・ヤム/チョン・シウファイ/マギー・シュー

→予告編 →他の映画の感想も読む

【関連記事】
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*Comment

■>FOX21さん

リンクしていただいて構いません。
こちらからもリンク貼らせていただきましたので、宜しくお願い致します。
micchii |  2011.01.16(日) 00:11 |  URL |  【コメント編集】

■>にじばぶさん

ご心配をおかけして、申し訳ありませんでした。
結局、1年もほったらかしになってしまいました・・・。
なんとか復活しましたので、今後とも宜しくお願い致します。
micchii |  2011.01.16(日) 00:01 |  URL |  【コメント編集】

■>イワナミさん

自分も大阪には行けませんでしたが、結構行かれた方もいるみたいで、ほんとに羨ましい限りです。
「あなたの映画を心待ちにしています」ってほんとに伝えたいですよね。
micchii |  2011.01.16(日) 00:00 |  URL |  【コメント編集】

■>ぴろしきさん

初めまして、コメントありがとうございました。
大阪に夕張と、よく考えたら2箇所も来たんですよね。どちらも行けませんでしたが・・・。
『マッド探偵』はようやく公開が決まったみたいですね!
今後とも宜しくお願い致します。
micchii |  2011.01.15(土) 23:58 |  URL |  【コメント編集】

■>TKATさん

バックナンバー拝見しましたが、行かれたんですね!
しかもトーさんを撮影までできたなんて!!
羨ましすぎます・・・(涙)
micchii |  2011.01.15(土) 23:46 |  URL |  【コメント編集】

■>リーチェンさん

邦題、長いですよね・・・。
大阪、ぜひ行きたかったんですが、大阪どころかブログの更新すらほったらかしの状況でしたので、残念でした。
生ジョニー・トー羨ましすぎます!!
micchii |  2011.01.15(土) 23:37 |  URL |  【コメント編集】

■>SOFFYさん

こちらこそお久しぶりです。
そうなんですよね、先に『放・逐』を観ていなかったら、もっと絶賛してたでしょうが、なんせあれが凄すぎました・・・。
でも、好きなシーンはたくさんありますし、何度見ても楽しめる作品ではあると思います。
micchii |  2011.01.15(土) 23:29 |  URL |  【コメント編集】

■>Ayuさん

こちらこそお久しぶりです。
『鎗火』『放・逐』と3部作みたいな言われ方をしていますし、確かに被っているところは多いですね。
『文雀』字幕付きでご覧になられましたか!
いいですよね~、ひょっとしたら、今や一番好きなジョニー・トー作品かもしれません。
Ayuさんのブログですが、「指定されたページがみつかりませんでした」と表示されてしまいますが、どこかにお引越しされたのでしょうか?
もしそうでしたら、お手数ですが、お引越し先を教えていただけたらと思います。宜しくお願いします。
micchii |  2011.01.15(土) 23:26 |  URL |  【コメント編集】

■>よしぼうさん

もうとっくにご覧になっていると思いますが、あんまり『サムライ』との共通点はないですかね。
正直なところ、『サムライ』はアラン・ドロンのかっこよさは目に焼き付いているんですが、話自体はあんまり覚えていないんですが・・・。
micchii |  2011.01.15(土) 23:04 |  URL |  【コメント編集】

FOX21です。
http://fox21.blog70.fc2.com/
よかったら相互リンクお願いします!
FOX21 |  2010.03.17(水) 22:47 |  URL |  【コメント編集】

■大丈夫ですか?

一番上に奇妙な英字の記事が上がっていたので、よく読んでみると・・・

大丈夫ですか?!
更新されてないようですが。
にじばぶ |  2010.02.14(日) 01:19 |  URL |  【コメント編集】

■邦題決まりましたね!!

大阪には行けないので僕は5月公開を待ちます。
トー監督にも会いたいです。
「あなたの映画を心待ちにしています」
って伝えたいです。
イワナミ |  2010.02.11(木) 04:00 |  URL |  【コメント編集】

■管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
 |  2010.02.08(月) 21:30 |   |  【コメント編集】

■『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』

リーチェンさんが既に書かれてますが、
大阪で日本初上映です!
オープニング上映でジョニー・トー監督の舞台挨拶もあり、
もちろん行く予定にしてます^^

やっとこの映画を日本語付きで見れると思うと
今から楽しみで楽しみで(TT)。
まずは先行チケットをゲットしまっす!
TKAT |  2010.01.22(金) 23:50 |  URL |  【コメント編集】

■ジョニー・トー監督来阪します!

micchiiさん、こんにちは!

邦題は『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』
ずいぶん、長ったらしくなってしまいましたね・・・

この作品、現在私がボランティアで活動している大阪アジアン映画祭オープニング作品として、3月10日(水)18:40~
上映&ジョニー・トー監督の舞台挨拶もあります!!!

平日ですけど、よろしければぜひ大阪にお越し下さい!

ちなみに、私はさきほど鑑賞、『エグザイル』を見ていなかったので、すごくよかったです。

ジョニー・トーファン友達にも是非ご紹介下さい♪
リーチェン |  2010.01.22(金) 17:15 |  URL |  【コメント編集】

■邦題・・・

お久しぶりです~。

やっとこさ鑑賞しましたが、感想はほぼ同じです。
『放・遂』を先に観ていなければもっと良かったでしょうね。
でもジョニー監督らしい作品で私的には満足でした♪

ってか、早くも公開されるんですね!
邦題、私も咄嗟に「記憶」を入れようと思いつきましたが、
もう少し考えてみます。

この情報、うちでもUPさせて頂きます!(パクり?)
SOFFY |  2010.01.22(金) 14:22 |  URL |  【コメント編集】

■お久しぶりです

micchiiさん、お久しぶりです
この作品『放・逐』と被っているんですか、なんとなく想像つきます。でも、ジョニー・トー作品は雰囲気や世界観で楽しめる部分もあるので、やはりこの作品も良作なんだろうと思います。

私はようやく『文雀』を日本語字幕で観ました。
かなり良かったです。さすがトー監督といいますか、色んなイミで監督の凄さを堪能できました。
Ayu |  2010.01.20(水) 02:11 |  URL |  【コメント編集】

■『サムライ』は?!

確かに『エクザイル/絆』とアンソニー・ウォンの役が被っているので、記事の通りの映画なんでしょうね。
ただ、気になるのは、『サムライ』にインスパイアされているという話。メルヴィル・ブルーはいいですけれど、そのお話の方はどうなのですか?
よしぼう |  2010.01.13(水) 02:01 |  URL |  【コメント編集】

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