2005.10.31

『パラダイス!』(パトリック・ヤウ)

パラダイス!

ジョニー・トー第20弾。
今回はジョニー・トーは製作。監督は、これがデビュー作で、次に『ロンゲストナイト』を撮ることになるパトリック・ヤウ。

最近、『ベルベット・レイン』のウォン・ジンポー監督が“第2のウォン・カーウァイ”なんて言われているみたいですが、この『パラダイス!』の時も、“ポスト・ウォン・カーウァイ”なんて言われていたみたいです。

でも、『ベルベット・レイン』よりはこっちのがずっとウォン・カーウァイに近い。
全然知らずに観て、オープニングにクレジットが出ず、観終わった後に「監督:ウォン・カーウァイ」と出ても、何の違和感も感じないと思います。

それほどにスタイリッシュな映像と音楽。

中でも、『欲望の翼』のラストで流れた「Jungle Drums」が使われているのがポイントですね。
あと、全篇に渡って流れるチャチャチャの旋律。

この映画、金城武のファンにはたまらないでしょうね。
前半はひたすら寡黙。
それが、カルメン・リーと出会ってから、どんどん表情が豊かになっていって、前半とのギャップが抜群。

パラダイス! 金城武

超高級ホテルの支配人や、指を切り落としてしまったヤクザの男と心を通わせるシーンなんかも素晴らしい。

カルメン・リーも、登場シーンからラストまで、どんどん可愛くなっていくのがいい。

二人でふざけて髪を切り合うところや、路面電車の線路の上を歩く二人の後ろ姿なんかもいい感じです。

「私を好きになった?
 私も少しだけ」
「少しね」



[原題]兩個只能活一個
1997/香港/89分
[監督]パトリック・ヤウ
[製作]ジョニー・トー/ワイ・カーファイ
[脚本]ワイ・カーファイ
[出演]金城武/カーメン・リー/ビュン・ウーニン/ラム・シュー

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2005.10.30

『スー・チー in ミスター・パーフェクト』(リンゴ・ラム)

スー・チー in ミスター・パーフェクト

ジョニー・トー第19弾。
ジョニー・トーは今回は製作。

この映画、はっきり言ってしょぼいです。
最初の10分くらいは、最後まで観れるか不安でした。
主演のスー・チーとアンディ・オンも弱い。イザベル・チャンは可愛いですが。

スー・チー in ミスター・パーフェクト

しか~し!
しょぼいストーリーも、主役の二人も、そんなのはどうでもいい。

この映画の見所は、なんといっても強烈な脇役。
いつもジョニー・トー作品で、かっこいい主役を引き立てるため笑いを取っている役者たちが、黒社会ものではやれる笑いに限度があるところを、アクション・コメディなので皆さんやりたい放題。

まずはサイモン・ヤム。
ド派手なスーツで登場し、部下にはサングラスのかけ外しから靴磨きまで指パッチンだけで無言で命令、ダンスも披露し、アクションシーンでもなぜか踊っています。最後は凄い状態に(笑)
格闘アクションがこんなにできるのにはびっくり。回転飛び回し蹴りは必見。

続いて、『暗戦 デッドエンド』『デッドエンド 暗戦リターンズ』と、ダメ上司をやらせたら天下一品のホイ・シウホン。
今回もアンディ・オンの上司としてダメダメぶりを炸裂。でも、水上バイクでのスー・チーとのチェイスは凄いです。

そして、待ってましたラム・シュー!
サイモン・ヤムとのホテルのロビーでのやりとりだけでも爆笑させてくれますが、ただのスケベおやじと化しています(笑)それでいて奥さんには頭が上がらない。

そこへさらに、『頭文字D THE MOVIE』でも笑わせてくれたチャップマン・トウも、体を張ったお笑いを存分に提供してくれます。

お笑い四天王(今勝手に命名しました)ここに集結。

もう一度観たいと思うような映画ではありませんが、ジョニー・トーファンには笑いがツボな作品です。



[原題]奇逢敵手
2003/香港/101分
[監督]リンゴ・ラム
[製作]ジョニー・トー
[出演]スー・チー/アンディ・オン/サイモン・ヤム/ラム・シュー/ルビー・ウォン/イザベル・チャン・/レイモンド・ウォン/ホイ・シウホン

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2005.10.28

『ゴールデン・ガイ』(ジョニー・トー)

ゴールデン・ガイ

ジョニー・トー第18弾。

『過ぎゆく時の中で』に続いて、チョウ・ユンファ&シルヴィア・チャンコンビですが、今回は軽いラブコメディ。

大富豪の跡取り息子ラム(チョウ・ユンファ)が、身分を隠して東東飯店で働き始め、社長の妹ユイ(シルヴィア・チャン)と恋に落ちる…。

ゴールデン・ガイ チョウ・ユンファ シルヴィア・チャン

チョウ・ユンファは『男たちの挽歌』などの痺れる役ももちろん最高ですが、コメディをやらせても抜群ですよね、ジョニー・トー監督の『僕たちは天使じゃない』でも強烈なオカマキャラでした。

大富豪の息子という設定にまずは違和感なくハマり、さらに身分を落としてバカができるキャラにもぴたりとハマる。

東東飯店ではユイの他にも仕事仲間ができます。
歌手デビューを目指している4人組、やけにませたガキ(『過ぎゆく時の中で』に続いてウォン・コンユン!)、そして現金な社長。

社長は妹ユイをお金持ちと結婚させようとしますが、ユイの心はラムに。

一方財産のためにラムと結婚するはずだった大富豪の令嬢。手をひらひらさせながら歩く歩き方が面白すぎます(笑)

お金持ちと令嬢の二人はラムとユイの仲を妨害しようとしますが、偶然にキスをしてしまってからは、ひたすらキスをしていて、挙げ句の果てには結婚して3年間で8人も子供を作ることに…。

ただ一人ラムの気持ちを理解している執事もいい味を出してます。
東東飯店にちょくちょく顔を出してはラムをアシスト。時に足を引っ張ってますが。

社長はその後なんと市会議員選挙に出馬。
スローガンに爆笑。“私を憎むなら票をくれ”

ジョニー・トー監督の初期のコメディには欠かせないレイモンド・ウォンも1シーンだけ友情出演しています。

お決まりの笑いをふんだんに盛り込み、ラストももちろんお約束。
それでも、何度も声を出して笑いました。
ジョニー・トー監督の初期のコメディは、頭を空っぽにして楽しめます。



[原題]吉星拱照
1990/香港/91分
[監督]ジョニー・トー
[出演]チョウ・ユンファ/シルヴィア・チャン/ニナ・リー/ウォン・コンユン/ビヨンド

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『過ぎゆく時の中で』(ジョニー・トー)

 

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2005.10.26

『ダイエット・ラブ』(ジョニー・トー/ワイ・カーファイ)

ダイエット・ラブ

ジョニー・トー第17弾。
『Needing You』に続いて、アンディとサミーのゴールデンコンビです。

いきなりですが、アンディもサミーも日本語喋ってるんですけど!(笑)

アンディの日本語といえば、同じジョニー・トー監督に『フルタイム・キラー』という怪作がありますが、今回はサミーまで。
サミーの第一声が「やめて」(爆)

さらに、あれっ!?ここは日本の温泉旅館?そして、横浜中華街?
舞台も日本なんですけど!
中心はほとんど横浜中華街。中華街に行かれたことがある方は、見慣れた光景が出てきます。

さらにさらに、ジョニー・トー監督、『マッスルモンク』でのアンディの肉襦袢では物足りなかったのか、アンディもサミーも百貫デブなんですけど!(笑)

ダイエット・ラブ

サミーは、10年前に香港から来日した女の子。
ピアニストと出会い恋に落ちたものの、ピアニストは渡米。
10年後の再会を約束したものの、寂しさからひたすら食べ続けたサミーは、なんと体重140kgに!
アンディはさらにそれ以上!!

ピアニストは今や有名になり、婚約者もいます。それでもピアニストの心は今でもサミーに。
毎回コンサートには必ず駆けつけるサミーですが、ピアニストは彼女と話しても彼女だと気づきません。もちろん外見が違いすぎるからですが(笑)

ショックのサミーは首を吊ろうとロープをセットしますが、台にしたスーツケースが太り過ぎのため倒れてあえなく失敗(笑)

そんな時ふと出会ったのがアンディ。こちらもサミーに負けずとんでもなく太っています。

ピアニストとの約束の日は近い。というわけで、中華街にあるアンディのアパートに住み込んで、ダイエット大作戦開始!

ダイエット・ラブ

中華街のアンディの仲間には、ジョニー・トー組常連の顔ぶれ。
もちろんラム・シューの姿も。ラム・シュー中華街で中華まん売ってます(笑)

ダイエット・ラブ ラム・シュー

さらに、自分だけつらい思いしてみんなは食べ続けてずるいとサミーに言われ、みんなも一緒にダイエットをすることに。
気合を入れるためにみんなで叫びます。

ダイエット・ラブ

「痩せたい~!モテたい~!人間になりたい~!」、日本語です(笑)
ラム・シュー、体にサランラップをぐるぐる巻きにしてるし(笑)

ラム・シューは『アンディ・ラウの麻雀大将』には出ていなかったので、麻雀をやっているラム・シューが観れるのも貴重です。

ダイエットでは、ドラム缶を引っ張りながら走ったり、サミーは体を張って頑張ってます。
太っているサミーの姿だけですでに爆笑なんですが、ダイエットに励む姿もさらに爆笑です。

怪しい虫を食べれば痩せるとかいってサミーに食べさせ、もちろん体に悪くサミーは病院に直行。
病院でサミーを待っているアンディやラム・シューたちが、何を始めるかと思えば、紙屑でのサッカー!!
『ザ・ミッション/非情の掟』のファンには、思わずニヤリです。

この映画、もちろん、最後はアンディとサミーが痩せて結ばれてめでたしめでたしというのはわかりきっているわけですが、とんでもなく太っている二人の姿だけでもお腹を抱えて笑えます。
特にサミーのはじけっぷりが凄い!

ただ、舞台を日本にする必要性は最後までわかりませんでした。
ただロケで日本に行きたかっただけじゃないのか?(爆)



[原題]痩身男女
2001/香港/94分
[監督]ジョニー・トー/ワイ・カーファイ
[脚本]ワイ・カーファイ/ヤウ・ナイホイ
[出演]アンディ・ラウ/サミー・チェン/黒川力矢/樋口明日嘉/ラム・シュー/ウォン・ティンラム/佐膝佳次

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2005.10.25

『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』(アキ・カウリスマキ)

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ

愛すべき映画たち、区切りの150本目。
100本目が『真夜中の虹』だったので、150本目は同じくカウリスマキから。
久々の第9弾です。

最果てのツンドラ地帯から、史上最悪のロックバンドがやってきた!

というわけで、今までの作品とは異質なこの作品。
ただ、『過去のない男』がカンヌでグランプリを穫るまでは、知名度では一番だったかもしれません。

この映画、ぐだぐだと書く前に、写真を観ていただいた方が早いでしょう。

レニングラード・カウボーイズ 髪型

この髪型!
氣志團なんか目じゃありません(笑)

オープニング、「ツンドラ 無人の荒野」と字幕が出て、ほんとに何もない荒野。

カメラがボロい小屋に寄ると、中から音楽が。
そして「ポーリュシュカ・ポーレ」を演奏するレニングラード・カウボーイズの姿。
爆笑(笑)

演奏するメンバーを眺める二人の男。
一人はバンドのマネージャーウラジミール。扮するのは我らがマッティ・ペロンパー。
そしてもう一人はプロモーターらしき男。

顔色をうかがうウラジミール。
男が一言。「サイテーだね、売れないよ。アメリカへ行けば何とかなるだろう」
このいかにもアメリカをなめた言い方、さすがカウリスマキ。

このウラジミールというマネージャー、とんでもない極悪マネージャーで、メンバーは彼の言いなり。

「アメリカで演奏できるのはアメリカ人のみ。だからアメリカ人になれ」という命令の下、機内ではみんな英語のお勉強。

アメリカに到着。紹介状をもらった男に演奏を聞かせると、「君らの音楽は古臭い。今流行ってるのはロックン・ロールだ」と、紹介してくれた仕事はメキシコにいるいとこの結婚式での演奏だけ。

こうして、メキシコを目指し各地を転々としながらの旅が始まった!

移動するには車が必要ということで、有り金はたいて中古のキャデラックを購入。
この時の中古車のディーラーがジム・ジャームッシュ。

各地のバーで飛び込みで演奏させてもらうものの、観客の反応は冷ややか。

ジャームッシュの『ミステリー・トレイン』の舞台にもなったメンフィスも登場します。

自分だけステーキを食べお酒も飲むウラジミール。
マッティ・ペロンパーはいつもの酒豪ぶりをここでも発揮していて、車のある場所に隠してある缶ビールを飲み続けては、空き缶を後部座席に放ります。
車を止めてドアを開けると、車外に溢れ出すビールの空き缶。その数数百本!(笑)

お腹が空いたとすがるメンバーに、スーパーに立ち寄ったウラジミール、買ったのはなんと玉葱。
一人に一つずつ与えます。
生の玉葱をむさぼるように食べるメンバーたち。

相変わらず観客受けしないのは顔色のせいだとウラジミール、じゃもっと食い物をとメンバー。

原因は食べ物ではない、太陽と新鮮な空気だ、ビーチ・ボーイズを目指せ。
というわけで、砂浜に並んで寝そべって日光浴(笑)

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ 日光浴

車が壊れ、歩くかヒッチハイクだというウラジミールに、ついにメンバーの怒りが爆発。
クーデター発生。
後部座席に縛り付けられるウラジミール。

しかし、すぐに独裁復活。
この映画、シーンの前に見出しの字幕が出るんですが、ウラジミールが独裁を復活するシーンの見出しが「民主主義復活」。

普段は台詞やナレーションよりは“目で見せる”カウリスマキですが、皮肉の効いたこういう言葉のセンスも抜群。

立ち寄ったガソリンスタンドの店員がなぜか同じ髪型で、なんといとこ。
ボーカルとして加わった彼は、なんと「Born to be wild」を熱唱。
初めて観客に受けます。

そんなこんなでメキシコに到着。
現地の人がスペイン語で歌を歌い、バックで演奏するレニングラード・カウボーイズ。

幸せいっぱいの光景に笑みを浮かべ、一人立ち去るウラジミール。
『ラヴィ・ド・ボエーム』でもそうでしたが、立ち去る背中が絵になる男マッティ・ペロンパー。
ここでもじ~んとさせてくれます。

その後、レニングラード・カウボーイズはなんとメキシコのヒットチャートでトップ10入りを果たしたとさ…。

『マッチ工場の少女』では天安門事件の映像を流したカウリスマキ。
この映画も、一番ハチャメチャなようで実は一番政治的な映画かもしれません。

それでもやっぱり、難しいことを考えて観る映画ではありません、あの髪型なんですから(笑)

ロックからカントリーまでそれなりにこなすレニングラード・カウボーイズですが、一番良かったのはオープニングの「ポーリュシュカ・ポーレ」。
プロモーターには最低と言われていましたが、かなりいい感じです。

ギターやドラムにまじってバイオリンやトランペットやアコーディオンもあり、どこかクストリッツァのノー・スモーキング・オーケストラに近いものがあります。

それにしても何よりも凄いのは、このレニングラード・カウボーイズが実在のバンドだということ。
フィンランド恐るべし!



[原題]Leningrad Cowboys Go America
1989/フィンランド・スウェーデン/78分
[監督]アキ・カウリスマキ
[撮影]ティモ・サルミネン
[出演]マッティ・ペロンパー/レニングラード・カウボーイズ/ジム・ジャームッシュ

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『過去のない男』(アキ・カウリスマキ)
『ラヴィ・ド・ボエーム』(アキ・カウリスマキ)
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